需給動向 国内 |
豚枝肉卸売価格、需要期を迎え極めて堅調に推移 |
異例の高値が継続豚枝肉卸売価格(省令価格)は依然として堅調に推移している。今年度の同価格は、生産量が増加傾向で推移する中、6月を除き、例年を大きく上回る傾向となっており、年によっては400円を割り込む場面も見られる10・11月においても、それぞれ480円前後と、前年を80〜90円程度上回る高値での推移が続いた。12月の需要期に入り、例年どおり上昇局面を迎えたが、今年はその上昇幅がさらに拡大し、12月10日までの速報値で546円となっている(図4)。
冷蔵品は増加、冷凍品は減少傾向が継続豚肉輸入量は、平成24年秋以降、冷蔵品は増加、冷凍品は減少傾向で推移している。10月においても同傾向は継続し、冷蔵品が2万9099トン(同28.8%増)と大幅に増加したものの、冷凍品が3万7640トン(同26.2%減)と大幅に減少し、合計では6万6740トン(前年同月比9.3%減)となった(表1)。冷凍品の減少は、輸入申告に係る通関審査・検査の厳格化に加え、現地相場高、為替の円安傾向などが拍車をかけており、約1年にわたり月間輸入量は4万トンを下回る水準が続いている。 一方、冷蔵品は、冷凍品と同じく現地相場高、為替の円安傾向といった状況にありながらも、量販店などとの中長期契約により、一定の数量が恒常的に輸入されていることに加え、冷凍品の輸入量減少に伴う加工用部位(うで、もも)の代替需要により、増加傾向での推移が続いている。 なお、豚肉調製品(HSコード1602ー41ー090、1602ー42ー090、1602ー49ー290)については、近年、より安価な代替原料として輸入が増加しており、10月の輸入量も1万7380トン(同18.7%増)と、7カ月連続で前年を上回った。 ただし、現地パッカーの製造能力が限られていることなどから、豚肉輸入量の減少分をカバーするには至っておらず、当面、輸入豚肉の物量不足が解消される見通しは立っていない。
年明け以降の相場に注目例年、1月を迎えると、年末年始の需要が落ち着き、相場は低下局面を迎える。しかし、通関審査体制、現地相場、為替状況といった輸入豚肉を取り巻く現在の環境が大きく変化するとは考えにくく、また、需要面においても景気回復の兆しが見られている状況にある。これらを踏まえ、来年1月の豚肉相場はある程度の高値を維持する、または、低下したとしても例年より高めの水準となる(下支えされる)、との声も多い。(畜産需給部 藤原 琢也) |
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