需給動向 海外 |
国内の旺盛な需要により牛肉輸入量は急増
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牛肉生産量は緩やかに増加するも、牛の飼養頭数は減少傾向中国国家統計局によると、2012年の牛の総飼養頭数は1億343万頭となり、2009年以降、減少傾向で推移している(図8)。肉用牛は、豚などに比べて投資額が多く、生産サイクルが長い。さらに、中国では、小規模経営が多く、飼料費などの生産費が増加している状況にあることから、飼養者の導入意欲が低下し、飼養頭数は減少傾向にあるとされている。
このような中、国家発展改革委員会(中央政府)は2013年9月、「全国牛肉・羊肉生産発展計画(2013−2020年)」を公表した。同計画は、国内の牛肉需要を満たすために生産振興を図るとしており、2015年の牛肉生産目標を717万トン(2012年比8.3%増)に設定している。また、同委員会は、目標を達成するために、重点生産地域の設定や優良品種の導入、飼養管理技術の向上、大規模化の推進などに取り組むとしている。 国内生産は緩やかに増加しているものの、需要の伸びに供給が追いつかず、牛肉の小売価格は上昇傾向にある。図9を見ると、需要期の春節(旧正月、2014年は1月末)頃には、過去最高の1キログラム当たり67.4元(1078円、1元=16円)となった。これ以降も高値で推移し、5月の価格は同66.2元(1059円)と高水準にある。 現地報道などによると、5月末の国産牛肉の卸売価格は同54.6元(874円)、一方、輸入牛肉は同30元(480円)程度とされ、輸入牛肉との価格差がかなり開いている状況にある。 2014年1〜4月の牛肉輸入量は前年同期比4割増近年、中国の牛肉輸入量は急増しており、2013年は前年比約4.6倍の28万3000トンとなった(表2)。この勢いは2014年に入っても衰えず、1〜4月の輸入量は10万1000トン(前年同期比40.9%増)となった。なお、中国への牛肉輸出が許可されているのは、現在、豪州、ニュージーランド(NZ)、カナダ、ウルグアイ、アルゼンチン、コスタリカの6カ国のみとなっており、豪州産が輸入量の過半を占めている。一方、香港の牛肉輸入量を見ると、中国本土と同様に急増しており、2013年は前年比約2倍の32万3000トンとなった(表3)。また、2014年1〜4月の輸入量も12万3000トン(前年同期比38.6%増)と大幅に増加している。主な輸入先は、ブラジルと米国であり、この2カ国で輸入量全体の9割を占めている。 オランダの金融機関ラボバンクは、中国の今後の需要を満たすためには、2018年までの今後5年間で輸入量を15〜20%増加させると予測している。そのために、各国と輸入解禁に向けた協議を進めていくとみており、2014年末までにはブラジル、米国産牛肉の輸入解禁が行われるとしている。
(調査情報部 木下 瞬)
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