需給動向 海外

◆米 国◆

牛肉生産量の減少により輸入量が増加


2014年1〜4月の生産量は前年同期比4.7%減

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が5月29日に公表した「Red Meat and Poultry Production」によると、2014年1〜4月までの牛肉生産量は、前年同期比4.7%減の359万トンとなった。この減少は、肉牛飼養頭数の減少によりと畜頭数が低水準で推移していることによるもので、2014年1月から4カ月連続で前年同月を下回っている(図1)。
図1 牛肉生産量の推移
資料:USDA
注1:枝肉重量ベース
注2:子牛を含む
 また、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2014年4月のと畜頭数は、去勢牛が前年同月比1.5%増の135万4000頭となったものの、肉用繁殖雌牛は同18.5%減の23万2000頭となり、2013年6月以降、久しぶりに前年を下回った。肉用繁殖雌牛のと畜頭数減少の要因は、南部州および西部州の一部を除いて放牧環境が改善されていることを受け、繁殖雌牛の保留が進んでいることが挙げられる。

在庫量は減少傾向が継続

 USDA/NASSが5月22日に公表した「Cold Storage」によると、2014年5月の牛肉在庫量は、前年同月比21.1%減の18万2500トンと5カ月連続で前年を下回った(図2)。減少の要因は、牛肉供給量が減少する中、国内外ともに需要が堅調なことが挙げられる。

 今後、輸出需要が堅調に推移した場合、牛肉在庫の水準はさらに低下するものとみられている。

図2 牛肉在庫量の推移
資料:USDA

2014年1〜3月までの牛肉輸入量は好調を維持

 米国内の牛肉生産量が減少する中、牛肉の輸入量は増加傾向で推移している。2014年1〜3月までの牛肉輸入量を見ると、前年同期比1.0%増の27万トンとなった(図3)。輸入先国別に見ると、1位のニュージーランドは同5.5%減の7万1140トンと前年同期を下回ったが、2位のカナダは同12.1%増の6万7300トン、3位の豪州は同9.1%増の6万7290トンと前年同期を上回った。カナダおよび豪州からの輸入量の増加は、それぞれの通貨がドルに対して安い為替相場で推移したことによる。

 なお、USDAでは、牛群の再構築が続く2016年まで牛肉生産量は減少すると見ており、2014年の牛肉輸入量を前年比6.5%増の108万7000トンと見込んでいる。


図3 牛肉輸入量の推移(1〜3月分)
資料:USDA
  注:枝肉重量ベース
(調査情報部 山神 尭基)


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