需給動向 海外

◆ブラジル◆

2014年1〜3月の鶏肉生産量、前年同期比7.1%増


2014年1〜3月の鶏肉生産量、7.1%増

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2014年1〜3月の鶏肉生産量は前年同期比7.1%増の312万9182トンとなった(図15)。また、同期間の国内消費量は同9.5%増の230万3365トンに達した。これは、2014年に入り牛肉、豚肉の小売価格が前年同月を上回って推移する一方、鶏肉価格は下回って推移したことを受け、国内需要が拡大したことによるとみられている。

 また、ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)は、サッカー・ワールドカップの開催による国内の鶏肉需要の拡大や、中国などにおける鳥インフルエンザの発生で国際的にブラジル産鶏肉の需要が拡大していることを受け、2014年の鶏肉生産量は、前年を上回ると見込んでいる。

図15 鶏肉生産量の推移
資料:APINCO

2014年1〜3月の鶏肉輸出量、前年比0.8%増

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2014年1〜3月の鶏肉輸出量は前年比0.8%増の82万6312トンとなった(表8)。輸出先を国別で見ると、最大の輸出先はサウジアラビアで16万1627トン(同7.0%減)、次いで日本向け8万8460トン(同7.6%減)となった。日本向けは、2014年に入り、為替相場の影響などで輸出価格が上昇したことにより、減少したとみられる。また、中国向けは同国の鳥インフルエンザ発生によるブラジル産鶏肉需要の拡大により、4万9788トン(同4.2%増)となった。

 輸出量を形態別に見ると、丸どりが32万5395トン(同7.5%減)であったのに対し、カット部位による輸出については50万917トン(同7.0%増)となった。要因としては、サウジアラビアが従来の丸どり輸入を減らして部位による輸入を増やしたことが挙げられる。

 米国農務省(USDA)は、2014年第1四半期のブラジル鶏肉輸出量が、当初の見込みほど増えなかったことについて、国際的な鶏肉価格の下落を受け、ブラジル産鶏肉の価格優位性が失われたためとしている。

表8 鶏肉輸出の推移

資料:SECEX

2013年の鶏肉生産費、前年より減少

 ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)によると、最大の鶏肉生産州であるパラナ州の2013年のブロイラー生産費は生体1キログラム当たり2.00レアル(92円:1レアル=46円)と前年比2.0%減となった(表9)。これは、生産費の約7割を占める飼料費が、2012年後半に高騰したトウモロコシ価格が下落したことで、同2.7%減の生体1キログラム当たり1.41レアル(65円)となった影響が大きい。一方、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、2013年のブロイラー生産者価格は同19.2%高の2.48レアル(114円)を記録しており、生産費の減少と相まって生産者の収益性は改善している。

 なお、2014年1〜4月では、トウモロコシ価格が堅調に推移する中、ブロイラー生産者価格が同2.0%安を記録しており、生産者の収益は前年より悪化している。
表9 パラナ州のブロイラー生産費の推移(レアル/kg)
資料:EMBRAPA
(調査情報部 米元 健太)

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