需給動向 海外

◆豪州◆

高乳価に伴い、酪農経営は今後の見通しを楽観


主要州以外でも生乳生産が増加に転じる

 デーリー・オーストラリア(DA)によると、2014年4月の生乳生産量は63万2100キロリットル(前年同月比5.6%増)となり、5カ月連続で前年同月を上回った(図18)。2012/13年度(7月〜翌6月)は、乾燥気候による飼料不足とそれに伴う早期の乾乳期への移行、また、近年としては比較的低い生産者乳価の影響から、生乳生産量は減少した。一方、今年度は、最大の生乳生産州であるビクトリア(VIC)州の気象条件の回復や高い生産者乳価を背景に、生乳生産量は増加傾向にある。また、DAによると、補助的に利用される干草や小麦、大麦などの飼料価格が、安定的に推移し、生乳生産の増加を後押ししているとしている。
図18 豪州の生乳生産量の推移
資料:DA
  注:年度は7月〜翌6月
 生産状況を州別に見ると、2013年12月から増加傾向が継続しているVIC州やタスマニア州に加え、VIC州に次ぐ生乳生産州であるニューサウスウェールズ州や南オーストラリア州も4月は前年比で増加に転じており、生乳生産の増加傾向は豪州全体に広がりつつある。

乳製品輸出、脱脂粉乳、バターの増加傾向が継続

 DAによると、2014年4月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が1万691トン(前年同月比27.1%増)、全粉乳が6333トン(同14.5%減)、バターが3539トン(同33.3%増)、チーズが1万2907トン(同7.1%減)となった(図19)。生乳生産の回復に伴い、脱脂粉乳は増加傾向にある一方、全粉乳とバターは月ごとの変動が大きくなっている。また、粉乳に生乳が優先的に仕向けられていることに伴い、チーズは減少傾向が継続している。


図19 豪州の乳製品輸出量の推移
資料:DA

豪州最大手乳業、今年度6度目の生産者乳価引き上げを発表

 豪州最大手の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン社は6月、2013/14年度6度目となる生産者乳価の引き上げを発表した。同社は、これまでの乳固形分1キログラム当たり6.66豪ドル(646円:1豪ドル=97円)から、同6.81豪ドル(661円)へと引き上げるとしている。世界的に生乳生産は増加傾向にあり、乳製品国際価格は一時期よりも下落しているが、依然として粉乳類を中心に乳製品需要は堅調である。こうしたことも引き上げの背景にあるが、今回の引き上げは、他の国内乳業メーカーの引き上げに追随したものとされている。こうした乳業社間の生産者乳価引き上げ競争により、酪農家の生産意欲は一層高まることとなっている。

半数の酪農経営が、新たな設備投資を計画

 DAは5月、今後の経営見通しなどに関する酪農家の意識調査結果を公表した。これによると、今後の酪農経営について楽観的および非常に楽観的な見通しを示す酪農家は、前年の43%から75%に大幅に増加している(図20)。これは、前年度に比べ高い生産者乳価、米ドルなどに対する豪ドル為替相場の下落、良好な気象条件が背景にある。また、79%の酪農家が2013/14年度は営業利益を確保できると見通しており、前年度の57%を大幅に上回っている。こうした状況を受け、全体の半数の酪農家は新たな設備投資を計画しているとしており、特に輸出向けを主体とした最大の生産州であるVIC州では、その傾向が強まっている。
図20 豪州の酪農家の今後の経営見通し
資料:DA
  注:生産者乳価は豪州全体の平均
(調査情報部 根本 悠)

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