生乳生産、大幅に増加
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2014年2〜3月の生乳生産量は、373万7000トン(前年同期比16.4%増)となった(図21)。前年度は、北島を中心に深刻な干ばつの被害を受けたことで、2013年2月以降前年を下回って推移したが、今年度は、気象条件の回復に伴い、同年8月以降8カ月連続で前年同月を上回っている。地域別に見ると、北島では主要生産地域ワイカト地方の一部で干ばつの影響は残るものの、生乳生産量は前年を上回っている。一方、南島については、かんがいの利用により牧草の生育が安定しているため、生乳生産は好調に推移しており、NZ全体の生乳生産の増加をけん引している。また、4月以降の生乳生産についても、干ばつの影響から早期の乾乳期への移行が進んだ前年度に比べ、増加傾向で推移すると予想されている。
図21 生乳生産量の推移 |
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資料:DCANZ
注:年度は6月〜翌5月
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乳製品輸出、チーズは減少傾向
2014年3〜4月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が4万9271トン(前年同期比30.2%減)、全粉乳が22万758トン(同0.3%減)、バターが8万1646トン(同10.1%増)、チーズが4万8495トン(同3.6%減)となった(図22)。バターの輸出量増加については、最大の輸出先である中国向けの増加が要因であり、全粉乳についても、中国向けは依然として堅調に推移しており、前年並みの輸出水準を維持している。一方、脱脂粉乳、チーズの輸出量減少については、それぞれ中国向け、日本向けの減少が要因となっている。
図22 乳製品輸出量の推移 |
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資料:Statistics NZ |
国際相場、下落傾向が継続
2014年6月3日に開催された、乳製品国際相場の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:NZ最大手乳業フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)によると、脱脂粉乳の平均取引価格は1トン当たり3863米ドル(40万円:1米ドル=103円、前年比7.2%安、前回比3.5%高)、全粉乳は同3594米ドル(37万円、前年比22.6%安、前回比7.3%安)と総じて下落基調となった(図23)。特に全粉乳は、GDTでは6カ月後の取引まで契約できる仕組みとなっている中で、9〜12月渡しの落札価格の下落が目立った。これは、同時期が、季節的にNZの生乳生産が増加し、全粉乳価格の下落が見込まれる中にあって、6月時点での買い付けが比較的少ないことが背景にあるとみられている。
図23 GDTの乳製品価格の推移 |
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資料:GDT |
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NZ最大手乳業、新年度の初期乳価を公表
フォンテラ社は5月、2014/15年度(6月〜翌5月)初めてとなる生産者乳価(初期乳価)について、記録的な高水準であった前年度の初期乳価と同額の乳固形分1キログラム当たり7NZドル(616円:1NZドル=88円)とすると公表した。同社は、2014年2月以降の乳製品国際価格の下落は懸念事項であるとしているものの、依然として中国の乳製品需要は強く、ロシアについても需要に国内生産が追い付かず、輸入品に対する需要の増加が見込まれるとしている。
また同社は、2014/15年度の生乳生産量について、前年度の生乳生産量(見込み)を2%上回ると予測しており、高い生産者乳価が一層の生乳生産の増加をもたらすとみている。
(調査情報部 根本 悠)
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