需給動向 海外

◆米国◆

2012年センサス、酪農経営体数の減少傾向が続く


酪農経営体は減少も、1戸当たりの飼養頭数は増加

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は5月2日、2012年農業センサスの結果を公表した。2007年以来5年ぶりとなった今回の調査によると、米国の酪農経営体数は、100頭未満の飼養規模層で一貫した減少傾向が続く一方、1戸当たりの飼養頭数は増加傾向が続いているという結果となった。

大規模経営体による飼養頭数が増加

 2012年の酪農経営体数は、前回比8.3%減の6万4098戸であった(表10)。飼養規模別に見ると、全体の77.5%を占める100頭未満の経営体は前回比6.8%減の4万9683戸となった(表11)。一方、1000頭以上規模の経営体は前回比14.2%増の1807戸であり、大規模な経営体は増加が続いている。

 飼養頭数規模別の飼養頭数を見ると、1000頭以上規模の経営体による飼養頭数は同21.8%増の450万7854頭であった。同規模の農家による飼養頭数は増加傾向にあり、経営体数全体の2.8%の農家が、全体の約半数(48.7%)の経産牛を飼養していることが確認された。

 なお、2012年の生乳生産量を見ると、2007年比7.9%増の9086万5000トンとなっている。2012年は経営体数、飼養頭数とも前回調査から減少しており、生乳生産量の増加は、1頭当たりの乳量の増加によることがうかがえる。
表10 酪農経営体数、飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS「Census」
  注:1戸当たり飼養頭数は、飼養頭数を酪農経営体数で除したもの

大規模経営体が増加するカリフォルニア州

 酪農経営体数を州別に見ると、ウィスコンシン州が最も多く、前回比18.5%減の1万1543戸であった(表12)。同州全体の36.2%と最も多いシェアを占めたのは、50〜99頭規模層であったが、同規模の経営体が飼養する頭数は、前回比24.3%減の27万7611頭と、同州全体では前回比1.7%増の127万91頭となった中で減少した。また、500頭以上の経営体数は、シェアは3.4%にすぎないが、前回比42.3%増の387戸と大幅に増加し、同規模の経営体が飼養する頭数は、同60.3%増の41万2427頭となった。小規模経営体が比較的多い同州においても、大規模経営体が増加しているとみられる。

 飼養頭数が最も多く、全米での生乳生産量が一番多いカリフォルニア州は、酪農経営体の数では全米で9番目となり、前回比10.8%減の1931戸であった。同州全体の51.3%を占める500頭以上の経営体数は、前回比10.1%減の992戸と減少しているにもかかわらず、同規模の経営体が飼養する頭数は、同1.9%増の170万9918頭と増加している。同州では安価な労働力を確保することにより、経営の大規模化が進んでいることがうかがえる。

表11 飼養頭数規模別酪農経営体数の推移
資料:USDA/NASS「Census」
表12 州別酪農経営体数、飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS「Census」
  注:上記の州は、2012年経営体数の上位10州
(調査情報部 山ア 良人)

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