需給動向 国内 |
平成25年度の牛肉生産量は、35万4030トン(前年度比1.6%減)と前年度をわずかに下回った。これは、22年における口蹄疫の発生や生乳の減産型計画生産の影響などによる和牛および乳用種の生産量減少が背景にあるとみられる。 続いて輸入量については、25年度前半は、25年2月に米国産など牛肉の月齢制限が20カ月齢から30カ月齢へと緩和されたことにより大幅に増加した。夏以降は、在庫過多、現地相場高、為替の円安傾向などから輸入量は抑制されたものの、全体では53万5546トン(同5.9%増)と前年度をやや上回った。このうち、冷蔵品は、21万2339トン(同0.4%増)と微増だった一方、冷凍品は32万2528トン(同9.8%増)と、バラを中心に一定の需要があったことから前年度をかなりの程度上回った。 推定出回り量は、86万6984トン(同1.0%増)と前年度をわずかに上回った。このうち、国産品は、35万1523トン(同2.3%減)と生産量の減少を背景に前年度をわずかに下回ったものの、輸入品は、51万5460トン(同3.3%増)と冷凍品を中心とした輸入量の増加により前年度をやや上回った。 この結果、推定期末在庫量は10万7176トン(同25.4%増)と大幅に増加した。このうち、約9割を占める輸入品在庫量は、前半は輸入量の増加により大幅に積み増し、8月と10月には12万トン超えとなった。12月以降は、徐々に取り崩したものの、比較的高い水準での推移となった(表1)。
と畜頭数、和牛と乳用種で前年度を下回る25年度の品種別と畜頭数を見ると、19年度以降、増加傾向で推移していた和牛は、52万2302頭(前年度比3.3%減)と6年ぶりに前年度を下回った。これは、離農の進行に伴う飼養頭数の減少に加え、全国の和牛出生頭数の1割強を占める宮崎県において22年4月に発生した口蹄疫の影響に伴い、その感染拡大防止策として、22年4〜7月に繁殖自粛が行われたことにより、翌年2〜4月の同県の出生頭数が大幅に減少した。その結果、和牛去勢の平均的なと畜月齢である約29カ月が経過した25年夏のと畜頭数が大きく減少したことが、和牛全体のと畜頭数の減少につながったものとみられる。また、乳用種は、40万469頭(同1.0%減)と前年度をわずかに下回った。これは、22年度の生乳の減産型計画生産の実施により搾乳牛が淘汰されたこと、22年度における交雑種の子牛平均取引価格が高水準であったことを受けて、黒毛和種との交配率が上昇したことにより、乳用種去勢牛の平均的なと畜月齢である約20カ月が経過した25年度のと畜頭数の減少につながったとみられる。交雑種は、23万3879頭(同4.0%増)と前年をやや上回ったものの、和牛および乳用種で前年度を下回ったため、と畜頭数全体では117万7311頭(同1.2%減)となった。(図1)
(畜産需給部 山口 真功)
|
元のページに戻る