需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成25年度の鶏肉生産量、わずかに増加


 鶏肉生産量は、消費者の経済性志向や国産志向などを反映して増加傾向で推移している。

 平成25年度は、昨夏の猛暑の影響が懸念されたものの、増体能力の高い品種への切り替えに加え、配合飼料価格などの生産コストの上昇による収益減を出荷羽数の増加により補う動きと相まって、過去最高水準となった前年度をわずかに上回る146万4312トン(前年度比0.5%増)と記録を更新した(表3)。

輸入量はやや減少

 主に業務・加工向けとして輸入される生鮮鶏肉の輸入量は、飼料価格高や人件費の上昇による現地相場高、為替の円安傾向などの影響により、前年度をやや下回る40万5548トン(前年度比4.1%減)となった。

 国別にみると、全体の9割を占めるブラジル産が37万6199トン(同3.3%減)と前年度をやや下回った。次いで輸入量が多い米国産が2万3567トン(同12.6%減)と前年度を大幅に下回った。

 平成16年1月の高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う輸入停止措置以降、およそ10年ぶりに輸入停止措置解除(平成25年12月25日付)となり注目されたタイ産は、現地の提示価格が高いほか、実需者の様子見もあり、835トンにとどまった。

 なお、鶏肉調製品(焼き鳥、チキンナゲット、唐揚げなど)の輸入量は、近年、生鮮鶏肉を上回って推移しているが、主要輸入相手国である中国やタイでの現地相場高や為替の円安傾向などにより5年ぶりに減少に転じ、43万3932トン(同4.3%減)となった。
表3 鶏肉需給表

資料:農林水産省食肉鶏卵課推計(22年2月をもって公表終了)、「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、
    在庫量は農畜産業振興機構調べ
注 1:生産量は骨付き肉ベース。
注 2:成鶏肉を含む。
注 3:輸入量には鶏肉以外の家きん肉を含まない。

推定出回り量は増加傾向

 25年度の推定出回り量は、経済性志向を反映した好調な消費を受けて190万7718トン(前年度比1.0%増)となった。このうち国産品は147万2146トン(同0.8%増)、輸入品は43万5572トン(同1.4%増)であった。

 鶏肉消費量の約4割を占める家計消費を見ると、1人当たり鶏肉購入量5019グラム(同5.7%増)および金額4464円(同8.3%増)といずれも前年度を上回って推移した。

推期末在庫量は9年ぶりの低水準

 25年度の推定期末在庫量は、前年度を大幅に下回る10万45トン(前年度比27.5%減)となった。このうち輸入品は7万7605トン(同27.9%減)、国産品は2万2440トン(同25.9%減)であった。

 輸入、国産在庫とも26年1月以降は積み増しに転じたものの、加工筋の引き合いが強いほか、輸入量の減少などを受けて、10万トンを割り込んだ17年5月以来の低水準となった。

卸売価格は高値で推移

 25年度の鶏肉卸売価格は、もも肉が1キログラム当たり612円(前年度比6.4%高)、むね肉が同265円(同34.5%高)といずれも前年度を上回った(図3)。

 これは、豚肉相場の上昇により家庭用、加工用ともに強い引き合いがあるほか、輸入品価格も上昇傾向にあることによるものとみられる。特に、輸入冷凍豚肉の代替として利用される加工向け原料やコンビニエンスストアの唐揚げ向け原料として引き合いが強いむね肉は、前年度を大幅に上回った。
図3 鶏肉卸売価格(東京)の推移

資料:農林水産省「ブロイラー卸売価格」、「食鳥市況情報」
注 1:消費税を含まない。
注 2:もも肉+むね肉合計は、もも肉1kg卸売価格とむね肉1kg卸売価格の単純合計。


(畜産需給部 藤戸 志保)

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