需給動向 海外

◆タ イ◆

2014年第1四半期、鶏肉の国内需要は好調なものの、
輸出量は減少


2014年1〜3月の食鳥処理羽数、鶏肉生産量はともに増加

 タイ農業・協同組合省によると、2014年第1四半期の食鳥処理羽数は、前年同期比3.6%増の2億8343万羽となり、鶏肉生産量も同3.6%増の38万8300トンと好調な生産を維持している(図16)。

 この要因として、2014年に入り、国内で豚に繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)などの疾病が発生し、生産量の減少で豚肉の小売価格が上昇し、比較的に価格が安定している鶏肉に需要がシフトしていることが挙げられる(図17)。

図16 四半期別食鳥処理羽数と鶏肉生産量の推移
資料:タイ農業・協同組合省
図17 鶏肉と豚肉の小売価格の推移
資料:タイ国内通商局

2014年1〜3月の鶏肉輸出量は前年同期比1割の減少

 2014年1〜3月の鶏肉輸出量は、生鮮鶏肉(冷凍鶏肉カット品・冷凍加塩鶏肉など)、鶏肉調製品ともに減少し、全体では12万8778トン(前年同期比9.6%減)とかなり減少した(図18)。

図18 鶏肉輸出量(1−3月期)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:020714(冷凍鶏肉カット品)、021099(冷凍加塩鶏肉)、160232(鶏肉調製品)を合計した値である。
 このうち、冷凍鶏肉(HSコード:020714(カット品))は1万8621トン(前年同期比18.7%減)と大幅に減少した。

 これは、2013年12月末に生鮮鶏肉の輸出が解禁された日本向けが2015トン(同全増)、主な輸出先であるラオス向けが1万1851トン(同4.0%増)と増加した一方、EUが、今年に入って輸出価格(FOB)が下落しているブラジル産の輸入を強めたことで、2566トン(同45.8%減)と大幅に減少した点が大きい(図19)。

 冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は1万1162トン(同35.9%減)と大幅に減少した。これは2012年7月にタイ産の輸入を解禁し輸出の9割以上を占めるEUが、生鮮鶏肉と同様に安価なブラジル産にシフトしたためである(図20)。
図19 輸出先別冷凍鶏肉(カット品)輸出量(1−3月期)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:020714
図20 輸出先別冷凍加塩鶏肉輸出量(1−3月期)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:021099

 鶏肉調製品(HSコード:160232)は9万8995トン(同3.2%減)とやや減少した。

 主な輸出先であるEU向けが4万8102トン(同0.6%増)と微増したものの、日本向けが日本国内の在庫調整により3万9940トン(同15.4%減)とかなり減少した(図21)。
図21 輸出先別鶏肉調製品輸出量(1−3月期)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:021099

(調査情報部 宗政 修平)

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