平成25年度の生乳生産量は、744万7032トン(前年度比2.1%減)となり、2年ぶりに前年度を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。月別にみると、6月から年度末まで10カ月連続で前年同月を下回り、10月以降は3%前後での減少率で推移した(図4)。
図4 全国の生乳生産量の推移 |
|
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」 |
北海道、都府県ともに減少
地域別では、北海道が384万8584トン(前年度比2.1%減)、都府県が359万8448トン(同2.1%減)となった。北海道は、酪農業からの離農が進む中、搾乳牛頭数の減少を1頭当たりの泌乳量の増加で補う構造となっているが、25年度は春先の低温による飼料作物の品質低下などが要因となり減少に転じたとみられる。都府県は、北海道以上に離農傾向が強く、平成8年度以降ほぼ毎年前年度を下回って推移している。また、北海道と都府県の生乳生産量のシェアは52:48と、3年連続で北海道が都府県を上回っている(図5)。
図5 地域別生乳生産量の推移 |
|
資料: 農林水産省「牛乳乳製品統計」 |
牛乳等向けはわずかに減少
生乳の用途別処理量では、牛乳等向け(注1)が396万4615トン(前年度比1. 1%減)となった(図6)。牛乳等向けの処理量が減少したのは、仕向け先として大きなウエイトを占める牛乳や加工乳、成分調整牛乳の生産が減少していることが大きな要因である。ただし、すべての品目が低調であったわけではなく、生産コストが安く価格競争力の強い乳飲料や、健康面での機能性が注目されているはっ酵乳は堅調であり、これらの生産量は25年度が過去最高となっている。
特定乳製品向けはかなり減少
乳製品向け(注2)処理量は、牛乳等向け処理量の減少幅がそれほど大きいものではなかったため、342万5512トン(前年度比3.2%減)となった。
内訳をみると、チーズ向けが50万1691トン(同3.4%増)、クリーム等向けが129万8070トン(同1.7%増)と伸びたことから、特定乳製品向け(注3)は160万2987トン(同8.1%減)と落ち込んだ。
(注1)牛乳、加工乳、成分調整牛乳、乳飲料、はっ酵乳などの生産に使用
(注2)チーズ、生クリーム、バター、脱脂粉乳などの生産に使用
(注3)バター、脱脂粉乳、練乳類、全粉乳など、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法
にて規定されている品目の生産に使用
図6 生乳処理量の用途別シェアの推移 |
|
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構調べ |
(畜産需給部 岡 久季)
|