米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月21日に公表した「Cattle on Feed」によると、フィードロット(注)の飼養頭数(2014年3月1日現在)は、前年同月比0.5パーセント減の1079万頭となった。米国では、2011、12年と連続して発生した干ばつによる放牧環境の悪化などから、繁殖雌牛などのと畜が進み、牛飼養頭数は過去最低水準となっている。このため、フィードロットの飼養頭数も減少傾向で推移している(図1)。主要肉牛生産州の飼養頭数を見ると、ネブラスカ州(同2.9%増)、カンザス州(同0.5%増)は増加となったものの、全米第1位の肉牛飼養頭数を誇るテキサス州(同3.1%減)、また、コロラド州(同5.0%減)、オクラホマ州(同11.5%減)では前年を下回った。
注:収容能力1,000頭以上規模が対象
図1 フィードロット飼養頭数の推移 |
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資料:USDA
注:収容能力1,000頭以上規模が対象 |
2月の導入頭数はかなり大きく増加
一方、2014年2月のフィードロット導入頭数は前年同月比14.7パーセント増の165万頭と、3カ月連続で前年同月を上回った(図2)。この要因として、2013年の飼料穀物の豊作によるトウモロコシ価格の下落により、フィードロットへの導入条件が改善されつつあることに加え、米国内の肥育もと牛より安価なカナダからの生体牛輸入の増加(同1.1%増)が挙げられる。主要生産州の導入頭数を見ても、テキサス州やコロラド州では減少となったものの、アイオワ州(同41%増)、ネブラスカ州(同26%増)で増加となった。これらの州は、生体牛の輸入先であるカナダに近く、また、コーンベルト地帯という地の利を活かした豊富な飼料供給を背景に、一部の大規模フィードロットで導入意欲が高まっているものとみられている。
図2 フィードロット導入頭数の推移 |
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資料:USDA |
供給のひっ迫により、肥育もと牛価格は高値で推移
2014年2月の肥育もと牛価格は、前年同月比15.8パーセント高の100ポンド当たり183ドル(1キログラム当たり423円:1米ドル104円)となった(図3)。繁殖雌牛頭数の減少により、肥育もと牛頭数の増加が停滞していること、フィードロットの導入条件が改善されつつあることなどを背景に、肥育もと牛価格は2013年7月以降、過去最高水準で推移している。
USDAでは、今後も肥育もと牛の供給量はひっ迫すると見込んでおり、2014年の肥育もと牛価格について、年間平均で100ポンド当たり166〜174ドル(1キログラム当たり384〜402円)と予測している。
図3 肥育もと牛価格の推移 |
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資料:USDA |
(調査情報部 山神 尭基)
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