平成26年2月の生鮮鶏肉の輸入量は3万2321トン(前年同月比13.4%減)となった。輸入量の9割を占めるブラジル産が3万73トン(同15.3%減)と前年同月をかなり大きく下回っており、飼料高や人件費上昇に伴う現地高により依然として厳しい買付状況が継続しているものとみられる。タイ産は高病原性鳥インフルエンザ発生(平成16年1月)に伴う輸入停止措置以降、およそ10年ぶりに輸入停止措置解除(平成25年12月25日付)となったが、同月の輸入量は23トンにとどまった。これは、タイ側からのオファー価格がブラジル産に比べ高かったとみられることから、実需者や輸入業者が様子見しているためとみられている。輸入停止措置以降、実需者は長期にわたってブラジル産を利用していたこともあり、現状ではただちにタイ産へ移行することは考えにくい状況にある。しかしながら、タイはブラジルと比べて地理的に近いメリットがあることを踏まえると、今後、タイからの輸入量が本格的に増加するかどうかは、ブラジル産との価格差がどれだけ縮まるかにかかっている。
調製品輸入量、3年ぶりの低水準
外食・中食向け需要の高まりや消費者の経済性志向などにより、近年生鮮鶏肉輸入量を上回っていた鶏肉調製品の同月輸入量は2万5807トン(同16.0%減)と3年ぶりの低水準となった。主要な輸入相手国別に見ると、中国産1万1704トン(同14.4%減)、タイ産1万3866トン(同17.0%減)といずれも前年同月を下回った(図3)。これは、為替が円安傾向に進んだことに加え、現地の人件費の上昇も要因とみられる。
図3 鶏肉生鮮・調製品輸入量の推移
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資料:財務省「貿易統計」
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鳥インフルエンザの発生について
農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、4月13日、熊本県の肉用鶏農場において、家畜伝染病である高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認され、鶏約11万2千羽の殺処分がなされた。熊本県では、殺処分した鶏や汚染物の埋却処分、鶏舎の消毒作業など一連の防疫措置が完了し、感染拡大を防ぐための対応が行われている。
今回の鳥インフルエンザの発生を受けて設置された移動制限区域内(3km以内)では約15.5万羽(5戸)の肉用鶏が飼養されているが、全国の飼養羽数からみればわずかであり、現時点では需給への影響はみられない。
(畜産需給部 藤戸 志保)
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