平成26年2月のバター生産量は4,793トン(前年同月比23.5%減)、脱脂粉乳の生産量が9,471トン(同24.0%減)と、北海道における生乳生産の回復の遅れや、他品目への仕向け量の増加により、いずれも減少した(図4)。減少率が20パーセントを超えたのは、両品目とも23年7月以来、2年7カ月ぶりのことである。
図4 バター・脱脂粉乳の生産量伸び率(前年同月比)の推移 |
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資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」 |
北海道の生乳生産量の減少率が拡大
26年2月の生乳生産量は57万2501トン(前年同月比3.7%減)と前月から減少率が拡大した。このうち、北海道は29万3309トン(同4.1%減)、と約7年ぶりに4パーセントを超える減少となり、都府県も27万9192トン(同3.3%減)と、25年8月以来の落ち込みとなった。北海道の減少が目立ったのは、従来からの離農傾向に加え、昨年夏の猛暑による分娩時期のずれ込みや、飼料作物の品質低下が重なったことが要因とみられる。
特定乳製品向けの生乳が大幅に減少
生乳の用途別処理量では、牛乳等向けが30万2630トン(前年同月比0.5%増)、乳製品向けが26万5027トン(同8.2%減)と、牛乳等向けがわずかに増加したのに対し、乳製品向けの生乳量はかなり減少した。乳製品向けの内訳をみると、クリーム等向け処理量が10万1590トン(同6.2%増)、チーズ向け処理量が4万2875トン(同12.9%増)と伸びた一方、特定乳製品向けの生乳は11万9656トン(同21.6%減)と減少した(図5)。
図5 生乳の用途別処理量の推移 |
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資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
農畜産業振興機構「指定生乳生産者団体別の受託販売生乳数量等」 |
民間在庫量は前年度割れ
2月のバター民間在庫量は1万8209トン(前年同月比17.8%減)となった。これは、25年度における出回り量が2月末時点で前年同期比2.8パーセント減と小さな下げ幅にとどまった一方で、生産量が7.0パーセント減となったためである。こうした需給動向を反映し、バターの卸売価格(大口需要者価格)は、26年2月に1キログラム当たり1,240円と過去20年間での最高値を記録した(図6)。また、脱脂粉乳は、民間在庫量が4万956トン(同12.2%減)となり、卸売価格(大口需要者価格)は25キログラム当たり1万5736円と依然高い水準にある(図7)。
図6 バターの卸売価格(大口需要者価格)と民間在庫量の推移 |
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資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」および「乳製品の大口需要者向け価格の動向」 |
図7 脱脂粉乳の卸売価格(大口需要者価格)と民間在庫量の推移 |
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資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」および「乳製品の大口需要者向け価格の動向」 |
26年度カレントアクセス分の輸入入札を実施
北海道の生乳生産の回復は夏以降と予想されており、バターおよび脱脂粉乳の供給量を確保し、国内の乳製品需給の安定に資するため、機構では2月、平成26年度カレントアクセス分として、バター3,000トンと脱脂粉乳5,000トンの輸入入札を実施した。これらの輸入乳製品は検収期限を9月末と定めており、検収次第順次市場に放出される予定である。
(畜産需給部 岡 久季)
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