生乳生産、増加傾向が継続
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2013年12月〜2014年1月の生乳生産量は、519万1000トン(前年同期比6.0%増)となった(図25)。放牧環境が良好なことから、生乳生産量は、2013年8月から6カ月連続で前年同月を上回っており、増加傾向が継続している。生乳生産が多い北島では、夏場に入り乾燥した気候が広がっているものの、補助飼料の投入や、泌乳量の少ない乳牛を早期に乾乳期へ移行させるなど、昨年度の干ばつに比べると影響は小さいとみられている。一方、南島では適度な降雨から、牧草の生育状況は良好であり、今後も生乳生産の増加が見込まれている。
図25 生乳生産量の推移 |
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資料:DCANZ
注:年度は6月〜翌5月
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全粉乳輸出の増加傾向が継続
2014年1〜2月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が6万5045トン(前年同期比21.9%減)、全粉乳が29万7547トン(同11.2%増)、バターが10万2991トン(同11.3%増)、チーズが4万8132トン(同13.7%減)となった(図26)。全粉乳とバターの輸出量は、生乳生産が増加傾向にある中、中国の堅調な需要を背景に、増加基調が継続している。一方、脱脂粉乳やチーズは、中国向け以外の輸出が減少していることや、乳業メーカーが需要の高まっている全粉乳の生産を優先していることなどから減少している。
図26 乳製品輸出量の推移 |
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資料:Statistics NZ |
国際相場、下落に転じる
2014年4月1日に開催された、乳製品国際相場の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)によると、脱脂粉乳の平均取引価格はトン当たり4.126米ドル(42万9104円:1米ドル=104円、前年同期比19.7%安、前回比10.0%安)、全粉乳は同4,033米ドル(41万9432円、前年同期比20.9%安、前回比9.2%安)となった(図27)。2013年3月頃から、国際価格は高止まりを続けていたものの、2014年2月以降、下落に転じている。これは、NZの生乳生産が予想以上に好調であり、NZ最大の乳業メーカーであるフォンテラが入札数量を増加させていることや、主要市場である中国国内の生乳生産の増加と、同国の季節的な需要の減少が背景にあるとみられている。乳製品国際価格は、NZの生産者乳価に大きく影響を及ぼすため、2014/15年度(6月〜翌5月)の生産者乳価の下落要因となるとも予想される。
図27 GDTにおける乳製品相場の推移 |
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資料:GDT |
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今年度の需給見通し、生乳生産量、乳製品輸出額ともに増加の見込み
NZ一次産業省(農林水産省に相当)は2014年2月、2013年6月に公表した2013/14年度(7月〜翌6月)の牛乳乳製品需給見通しの改訂版を公表した。これによると、生乳生産量は、平均的な気候条件のもと、規模拡大と1頭当たり乳量の増加が進み、前年度を6.7パーセント上回ると見込んでいる。一方、乳製品の輸出額については、経済成長に伴う堅調な乳製品需要が新興国で継続するため、前回見通しを大幅に上回る167億NZドル(1兆5197億円:1NZドル=91円)としている。ただし、米国やEUの生乳生産の増加から、さらなる価格上昇は抑制されるとしている。
(調査情報部 根本 悠)
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