需給動向 海外

◆米国◆

2014年2月の乳製品生産、粉乳を中心に増加


生乳生産量は、年初から前年を上回って推移

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月19日に公表した「Milk Production」によると、2014年2月の生乳生産量は、前年同月比1.1パーセント増の723万トンとなり、今年に入り前年を上回って推移している。この増加の要因は、国内外の需要を背景とした生産者乳価の上昇に伴い、酪農生産者の増産意欲が高まっていることが挙げられる。また、飼料穀物価格などが下落し、給餌量が増加しているとみられることから1頭当たりの生乳生産量は同1.2パーセント増となった。生乳生産量を州別に見ると、比較的、気候が温暖なカルフォニア州やアイダホ州などで前年を上回った。一方、記録的な積雪などの影響を受けたウィスコンシン州やペンシルベニア州では前年を下回っている。なお、USDAでは今春の牧草の品質が例年に比べ良好で、1頭当たり乳量の増加が見込まれることから、第2四半期の生乳生産を前年同期比1.3パーセント増としている。

全粉乳生産量は大幅に増加

 USDA/NASSが4月3日に公表した「Dairy Products」によると、2014年2月の乳製品生産量のうち、全粉乳は、堅調なアジア向け輸出需要を背景に前年同月比59.8パーセント増の4,000トンと9ヵ月連続で前年を上回って推移しており(図17)、脱脂粉乳も同2.3パーセント増の6万4000トンとなった。一方、チーズは同0.6パーセント減の38万5800トンとほぼ横ばいで推移し、バターも同4.6パーセント減の7万5200トンと減少した。
図17 全粉乳生産量の推移
資料:USDA

主要乳製品の輸出量は好調を維持

 米国農務省海外農務局(USDA/FAS)によると、2014年2月の乳製品の輸出量は、堅調な需要を背景に、全粉乳が前年同月比約3倍の3,829トン、脱脂粉乳が同2.9パーセント増の3万6200トン、チーズが同44.5パーセント増の3万1264トン、バターが同91.8パーセント増の9,000トンと好調を維持している。中でも全粉乳は、2012年11月以降、前年を上回って推移している(図18)。
図18 全粉乳輸出量の推移
資料:USDA
 全粉乳の輸出相手先国を見ると、前年同月で輸出実績のないアルジェリア(全体に占める割合は29.3%)や中国(同29.0%)向けの増加が目立っている。中国では全粉乳などを中心に乳製品需要が増加する一方で、国内の生乳生産量が不足していることから、輸入量が増加したとみられる。また、全粉乳に次いで輸出量が増加したバターは、9ヵ月連続で前年を上回っている(図19)。主な輸出先国は、順にメキシコ(同46%増)、日本(同58%増)、韓国(同43%増)、サウジアラビア(同191%増)となっている。

 なお、米国農務省経済局(USDA/ERS)では、今後も海外の乳製品需要は増加するため、2014年第1四半期の乳製品輸出量を無脂乳固形分ベースで前年同期比37.5パーセント増、乳脂肪ベースで同12.0パーセント増とかなり大きく伸びると見込んでいる。
図19 バター輸出量の推移
資料:USDA

                                      (調査情報部 山神 尭基)


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