需給動向 海外

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ASF発生により、豚肉価格が下落


2014年2月の豚枝肉卸売価格、輸出停滞で前年同月比6.3パーセント安

 欧州委員会によると、EUの2014年2月豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり160.41ユーロ(2万2939円:1ユーロ=143円)と前月からやや下落し、前年同月比6.3パーセント安となった(図8)。
図8 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会
 例年の季節変動では、春先にかけて豚肉価格は上昇する傾向にあるが、ほとんどのEU加盟国で価格は下落に転じた。これは、1月下旬からリトアニア、ポーランド国内で相次いで確認されたアフリカ豚コレラ(ASF)の影響が要因として挙げられる。ASFの発生により、EU最大の豚肉輸出先であるロシアがすべてのEU産豚肉の輸入を禁止、また、日本と中国がポーランド産の輸入を禁じるなどの措置が取られている。このため、EU域外への豚肉輸出量は大きく減少していると見られている。

 ASFの発生が確認された両国の豚肉生産状況を見ると、リトアニアは飼養頭数、豚肉生産量、輸出量とも、EU全体に占める割合が1パーセントに満たない(表4)。しかし、ポーランドは、飼養頭数ではEUで6番目に位置する(占有率:7.5%)とともに、域外への輸出量では同14.5パーセントを占めるなど、EUの主要な豚肉生産国の一つであり、近年は、対日輸出量も増加している。

 また、価格の推移を見ると、リトアニアは前月から枝肉100キログラム当たり 4.77ユーロ(682円、前年比2.9%安)下げ、前年同月比3.1パーセント安とやや下落、ポーランドは、前月から同8.63ユーロ(1,234円、前年比5.4%安)下げ、前年同月比9.3パーセント安とかなり下落した。なお、他の主要な豚肉生産国の価格も、全般的に下落傾向にあり、中でもオランダは、前年同月比10.8パーセント安とかなりの下落を示している。一方、英国は前月からはわずかに下落したものの、前年同月比で10.8パーセント高(100キログラム当たり195.6ユーロ、2万7971円)となった。英国は、他のEU諸国の価格下落基調に影響されつつも、国内供給量に品薄感があるため、昨年来の相場傾向が継続していると見られている。
表4 豚肉生産の概況(ポーランド、リトアニア)
資料:欧州委員会、GTI社「Global Trade Atras」
注 1:2013年12月現在
注 2:2013年1〜12月

欧州委員会、ポーランドの養豚農家に対し救済措置を実施

 ポーランドでは、2月17日に発生が確認されたASFによる移動禁止措置などを要因に、豚肉価格は急激に下落し、養豚経営に深刻な影響を及ぼしている。このため、欧州委員会はポーランド政府の要請を受け、移動禁止措置などの直接的な影響を受ける地域の豚から生産された豚肉と、豚肉製品のみを対象とした特別救済措置を行うことを発表した。

1 対象となる豚
 2014年2月26日(ポーランドで移動禁止措置などが適用された日)から5月25日までにと畜された豚

2 補助対象数
枝肉換算量2万トンまで、かつ1頭当たり枝肉重量100キログラムまで

3 補助額および予算
・枝肉換算量100キログラム当たり35.7ユーロ(5,105円)
・2014年8月31日までの対象者への支払完了を条件に、補助額の50パーセントがEU予算から支出される。

4 その他
ポーランド政府は、EU規則に基づいた衛生管理の実施状況を、毎週水曜日に欧州委員会に報告する義務がある。また、欧州委員会は、市場価格の動向に応じ、措置内容を見直すことができる。

 なお、リトアニアもポーランド同様に特別救済措置を要請しており、欧州委員会において検討されることとなっている。

2013年の豚肉生産量はわずかに減少

 欧州委員会統計局によると、2013年のEUの豚肉生産量は2198万9000トンとなり、前年比0.7パーセント減とわずかに減少した(図9)。

 2013年上半期における減少要因は、アニマルウェルフェア導入に伴う飼育規制の強化による妊娠母豚のストール飼い禁止と、2012年から続いた飼料穀物価格の高騰が影響したものと見られている。繁殖母豚の減少分は、母豚能力の改良などによる生産性向上により、ある程度埋め合わせられたと見られているが、下半期の生産量は前年と同程度にとどまった。

 なお、同統計の現段階の予測によると、2014年の生産量は前年比1.1パーセントの減少と見込んでいる。一方、欧州委員会が3月に公表した短期予測によると、生産性の向上により、2014年の生産量は同0.6パーセントの増加と予測している。

 ただし、ASF発生による域外輸出の停滞が長期化すれば、価格下落とともに生産面への影響も懸念される状況にある。

図9 豚肉生産量の推移
資料:欧州委員会
注 1:2012年はEU27カ国、2013〜14年はクロアチアを含むEU28カ国
注 2:2014年は予測値
                                       (調査情報部 宅間 淳)

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