需給動向 国内

◆牛 肉◆

輸入品仲間相場、過去最高水準まで上昇


 平成26年8月の牛肉需給は、交雑牛のと畜頭数は前年を上回ったものの、全国的な離農などの影響もあり、和牛および乳牛のと畜頭数が前年を下回ったことから、生産量は2万6656トン(前年同月比2.2%減)と、前年をわずかに下回った。輸入量は5万8104トン(同6.3%増)と、前年をやや上回った。この背景として、現地相場の先高感から早めの手当てが行われているものとみられる。推定出回り量は、天候不順だった中、7万7915トン(同9.6%増)と前年をかなりの程度上回った。推定期末在庫は輸入量が多かったことから12万2426トン(同8.5%減)と、前月より6752トン積み増した。(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

米国産ショートプレートなど輸入品仲間相場、上昇基調続く

 輸入品仲間相場は、依然として上昇基調で推移している(図1、2)。大幅な上昇が継続している背景として、為替の円安傾向に加え、米国産については同国の生産量減少や需要の高まり、豪州産については他国との競合などによる現地相場の先高感に伴い、実需者が早めの手当てを行っているためとみられる。

 特に、牛丼などに使われることの多い米国産冷凍ショートプレートの仲間相場は、年明け以降、上昇基調にあった中、平成26年7月に急上昇し始め、8月は1キログラム当たり976円(同73.4%高)となった。この背景として、25年2月の月齢制限緩和措置後の輸入量が急増した時期に積み上がった比較的安い玉の在庫が7月頃に底をついたことがあるとみられる。一方、豪州産ナーベルエンドブリスケットは、同832円(同28.9%高)となった。より安価な商品を求める実需者の動きが加速し、代替性を有し比較的安価な豪州産への切り替えが進んだとみられ、米国産ショートプレートの相場上昇に引っ張られる形で推移している。

 また、主に加工用の挽き材などで使用される豪州産トリミングは、25年春以降、おおむね横ばいで推移してきたものの、26年7月以降、急上昇している。これは、上述のとおり米国の生産量減少および需要の高まりに伴い、豪州からの輸出量が増加しており、以前にも増して豪州産への引き合いが強まっていることが背景にあると思われる。

 上記以外の部位についても、例えば、テーブルミートとしても業務用としても汎用性の高い米国産チャックアイロールおよび豪州産チャックロール、ロースの主要部位の1つである米国産リブアイロールリップオン、焼き肉店では上カルビとして消費されることの多い米国産ショートリブなど、軒並み前年同月比2ケタ台の上昇率となっている。

 以上のように、輸入品の仲間相場は、米国産、豪州産共に、どの部位も大幅な上昇が継続しており、平成15年12月の米国でのBSE発生により米国産、豪州産共に急騰した数カ月間を除けば、調査開始以来、過去最高水準となっている。前述したとおり、相場の上昇は海外の需給状況によるところが大きいことから、実需者には消費離れにつながらないよう難しい対応が求められている。

図1 米国産牛肉の仲間相場
資料:農畜産業振興機構調べ
  注:消費税を含まない。
図2 豪州産牛肉の仲間相場
資料:農畜産業振興機構調べ
  注:消費税を含まない。
(畜産需給部 山口 真功)

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