需給動向 海外

◆米 国◆

肥育もと牛価格は過去最高値を更新


フィードロット飼養頭数は減少基調

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月19日に公表した「Cattle on Feed」によると、2014年9月1日現在のフィードロットの飼養頭数は、前年同月比1%減の979万9000頭となった(図1)。主要肉牛生産州別に見ると、全米で肉牛飼養頭数が最も多いテキサス州(前年同月比1%増)、次点のネブラスカ州(同2%増)などで増加したものの、カンザス州(同2%減)やコロラド州(同4%減)で減少となった。

 また、8月のフィードロット導入頭数は、同3%減の172万頭となり、依然、低水準で推移している。

図1 フィードロット飼養頭数の推移
資料:USDA

肥育もと牛価格の高騰が続く

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2014年8月の肥育もと牛価格(600−650ポンド)は、前年同月比49%高となる100ポンド当たり242ドル(1キログラム当たり約586円:1ドル=110円)(速報値)と過去最高値を更新した(図2)。この要因としてUSDAでは、繁殖雌牛の飼養頭数減少により肥育もと牛の供給が減少する一方、トウモロコシ価格の下落により生産コストが低下していることから、肥育生産者の導入意欲が増していることを挙げている。

図2 肥育もと牛価格の推移
資料:USDA

と畜頭数は減少傾向で推移

 USDA/NASSが9月25日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2014年8月のと畜頭数は前年同月比11%減の246万2700頭となり、2014年1月以降、減少傾向で推移している(図3)。この要因として、2011年、2012年の干ばつの影響で繁殖雌牛などのと畜が進み、牛の飼養頭数が減少していることが挙げられる。さらに、2012年の干ばつで被害を受けた中西部の飼養環境が改善に向かったことで、牛群再構築のために繁殖雌牛の保留が進んでいることなども一因とみられている。と畜頭数の減少を受けて、同年8月の牛肉生産量は前年同月比10%減の91万8000トンとなった。

図3 と畜頭数の推移
資料:USDA

牛肉価格は記録的な高値で推移

 USDA/ERSによると、牛肉生産量の減少に加え、国内外からの強い需要を背景に、2014年8月の牛肉卸売価格(チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー(注))は、前年同月比36%高の100ポンド当たり260ドル(1キログラム当たり630円)と、7月に続き2カ月連続で過去最高値を更新した(図4)。

(注)カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

図4 牛肉卸売価格の推移
資料:USDA
  注:チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー
(調査情報部 渡邊 陽介)


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