需給動向 国内

◆鶏 肉◆

9月のむね肉卸売価格、依然として高水準続く


 平成26年8月の鶏肉需給は、生産量は11万7815トン(前年同月比4.2%増)、輸入量3万8244トン(同18.5%増)推定出回り量15万6210トン(同5.7%増)となり、推定期末在庫は11万7631トン(同10.4%減)と、前月から151トンを取り崩した。

 推定期末在庫のうち、輸入品が9万8508トン(同3.2%減)に対し、国産品が1万9123トン(同35.2%減)となった。需要の増加に伴う年末に向けた凍結回しの減少により、国産品の在庫水準の低下が顕著となっている(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

9月のもも肉とむね肉の価格差、275円まで縮小

 このような状況の中、9月の卸売価格(東京)は、もも肉が1キログラム当たり590円(同2.3%高)と14カ月連続で前年同月を上回り、むね肉が同315円(同11.7%高)と22カ月連続で前年同月を上回った(図6)。

 唐揚げなど、主にテーブルミートに仕向けられるもも肉は、季節需要に伴う価格変動が大きく、夏場は家庭で火を使った料理が敬遠されて需要が減退し、価格が低下する傾向にある。しかしながら、今年は、他の食肉との価格優位性に支えられた量販店での特売回数の増加などにより、例年に比べて下げ幅が小さくなっている。

 また、総菜やソーセージ、つくねなど加工需要の多いむね肉は、もも肉と比べて季節変動が小さいものの、ファストフードやコンビニエンスストアの加工需要が旺盛なほか、輸入豚肉の高騰を受けてハムソー原料の引き合いが強まっているとみられ、もも肉との価格差は275円まで縮小している。

図6 鶏肉卸売価格の推移(東京)
資料:農林水産省「食鳥市況情報」

8月の家計消費量、引き続き、増加傾向で推移

 鶏肉需要の約4割を占める家計消費量は、季節変動を伴いながらも、増加傾向で推移している。

 平成26年8月の1人当たりの購入数量は377.6グラム(前年同月比4.7%増)、支出金額は368円(同16.7%高)となった(図7)。消費増税や相場高を反映し、同月の家計消費における支出金額は、牛・豚・鶏肉とも過去5年間で最高となった。一方で、購入量は、牛・豚肉の小売価格の引き上げの影響もあり、安価な鶏肉への代替需要が増加していること、消費者の健康志向により、蒸し鶏などのサラダ需要が堅調なこと、また、今夏は全国的に例年ほどの猛暑ではなかったことから、夏場の需要の減退も緩やかになったものと思われる。

 10月から11月初旬は、量販店などの催事で需要が増加するほか、豚流行性下痢(PED)の影響も10月以降顕著となること、中国産鶏肉消費期限切れ問題発生を受けた輸入品全般の敬遠による国産回帰も追い風となっており、年末需要を控える中、鶏肉については、引き続き、需要増による底堅い相場の展開を予想する声が多い。

図7 鶏肉の家計消費(1人当たりの購入数量・支出金額)
資料:総務省「家計消費状況調査報告」
  注:金額は消費税を含む。
(畜産需給部 藤戸 志保)

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