需給動向 国内 |
平成26年9月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、14カ月連続して前年同月を上回る1キログラム当たり231円(前年同月比20円高)と依然として高水準で推移した。(図11) 26年の卸売価格は、例年同様、2月をピークに低下が始まり、梅雨から夏場にかけてテーブルエッグ、加工・業務筋共に需要が鈍化し、7月までは下げ基調での推移となった。 8月に入ると、気温の上昇に伴う卵重、産卵率の低下により、生産量が減少したこと、学校給食の再開に向けた手当てが活発になったこと、大手ファストフードなどの加工・業務筋からの引き合いが強まったことなどを受け、中旬以降は日を追うごとに段階的に上伸した。 9月に入ると、供給面では、卵重、産卵率が回復したものの、需要面では、気温の低下に伴うコンビニエンスストアからの引き合い(おでん需要)が高まるなど、引き続き旺盛な需要が続いていることから、鶏卵相場は上昇を続けている。 今後については、供給面では、産地の気温低下に伴い、卵重、産卵率のさらなる回復が予想されることから、一定の生産量が確保されるものの、大幅な増産は予想されていない。需要面では、秋季は行楽行事に伴い需要が高まり、さらに年末の最需要期を迎えるため、量販、加工・業務筋から一定の引き合いが継続すると思われる。 よって、鶏卵相場は、タイトな需給状況を背景に、例年どおりの上昇局面を迎えるとの声が多い。
8月の家計消費、消費量、消費金額ともに増加 鶏卵需要の約5割を占めると言われている家計消費について見ると、消費量については、消費増税直後の平成26年4月、5月は前年同月に比べ減少したが、6月以降は増加に転じており、8月は1人当たり801グラム(M玉換算で約13個相当。前年同月比2.4%増)と3カ月連続して前年同月を上回った。 例年、夏場は、家庭で火を使った料理が敬遠される傾向にあり、家計消費量が減少する。しかし、猛暑であった24年、25年と比較すると、今夏は気温が高い期間が短かったため、家計消費の落ち込みも緩やかになった。このことが、前年同月比で見た場合の家計消費の増加につながったものと思われる。 一方、家計消費金額(税込)は、1人当たり239円(同13.5%増)と、14カ月連続で前年を上回り、好調な推移が続いている。 この要因としては、4月以降は消費増税により支出実額が増加したことに加え、食料品価格が全般的に上昇する中、安価な鶏卵への代替需要が高まったことによるものと考えられる(図12)。
(畜産需給部 藤原 琢也)
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