需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

2014年上半期の乳製品輸出量は4.4%増加


生乳生産量の増加により、輸出量はやや増加

 アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)によると、2014年上半期(1〜6月)の乳製品輸出量は、前年同期比4.4%増の17万6760トンとなった(表10)。生乳生産量は、2013年は例年に比べ雨が多く、牧草の生育状況が悪かったことなどから減少したが、2014年は良好な天候が続いていることで、生乳生産も増加基調で推移しており、乳製品の輸出量の増加につながった。アルゼンチンの乳製品は、他の主要酪農生産・輸出国に比べて価格優位性が高いとされており、近年、乳製品国際市場での競争力を高めつつある。

表10 乳製品の輸出量
資料:SENASA

ハードタイプなどのチーズの輸出が増加

 輸出量を品目別に見ると、脱脂粉乳とバターを除いて、いずれも増加している。輸出量の約4割を占める全粉乳は、主要輸出先であるベネズエラ向け、ブラジル向けの輸出量が大幅に減少する中、アルジェリア向け、中国向け、ロシア向けなどが大きく増加し、前年同期比3.6%増の7万1951トンとなった(表11)。

表11 国別全粉乳輸出量
資料:Global Trade Atlas
注1:HSコード040221で集計
  2:出典が異なるため、表10の輸出量の数値と一致しない。

 全粉乳に次ぐ輸出量となったチーズは、同7.0%増の2万5937トンとなった(表12)。製品別に見ると、2013年には輸出量の約5割を占めていたモツァレラが、前年同期比14.5%減の9875トンとなったが、ハードタイプ・セミハードタイプのゴーダ、エダム、チェダーが、それぞれ同57.1%増、42.8%増、277.2%増と大幅に増加した。この背景には、ロシア向けの増加(前年同月比132.4%増)が要因として挙げられる(表13)。

表12 製品別チーズ輸出量
資料:SENASA
表13 国別チーズ輸出量
資料:SENASA

ロシアの経済制裁により、輸出増加に期待

 ロシアは2014年8月以降、安全保障を図るための特別経済措置を発令し、同国に対し経済制裁を実施している国(米国、EUなど)からの農畜産物の輸入を禁止している。この制裁措置により、これまでロシア向けにチーズを中心に乳製品を輸出してきたEUに代わって、アルゼンチン産乳製品の同国向け輸出が今後増えると期待されている。

(調査情報部 山ア 良人)

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