需給動向 海外 |
生乳生産、9カ月連続で増加 |
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2014年8月の生乳生産量は75万2400キロリットル(77万5000トン相当、前年同月比2.3%増)と、9カ月連続で前年同月を上回った(図19)。8月は主要酪農地域の多くで降雨量が平年を下回ったものの、生乳生産への影響は軽微であったとみられている。 今後の見通しについては、先行き不透明な状況にある。プラス要因としては、エルニーニョ現象発生の可能性が低下していることや、かんがい用水の利用可能量が十分であることが挙げられる。その一方、夏季の気温が平年を上回る可能性が高いこと、飼料穀物(小麦、大麦)の生産量が前年を下回ると見込まれること、また、北部の干ばつにより乾草の価格上昇が見込まれることが、マイナス要因となっている。
乳製品輸出、脱脂粉乳の増加傾向が継続 生乳生産が増加傾向で推移する中、DAによると、2014年8月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が9799トン(前年同月比58.1%増)、全粉乳が4343トン(同29.4%減)、バターが1912トン(同27.3%減)、チーズが1万790トン(同1.5%増)となった(図20)。乳製品の国際需給が緩和状態にあるとされる中で、全粉乳、バターは減少する一方、脱脂粉乳は8カ月連続で前年同月を上回っている。脱脂粉乳の輸出増加の要因としては、中国向けが減少しているものの、最大の輸出地域である東南アジア向けが安定的に推移していること、また、国際価格の下落に伴い、価格変動に敏感な中東諸国からの需要が高まっていることが背景にあるとみられている。
今年度の需給見通し、バターを中心に輸出減少 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は9月、2014/15年度(7月〜翌6月)の牛乳・乳製品需給に関する見通しの改訂版を公表した(表9)。 これによると、生乳生産量はほぼ横ばいと見込む一方、乳製品生産量については、全粉乳およびチーズは増加ないしほぼ横ばいとする一方、バターおよび脱脂粉乳は減少を見込んでいる。2013/14年度のバター輸出は、金額ベースで見ると、約40%がロシア向けとなったが、2014/15年度は、ロシアの禁輸措置により、バターおよび脱脂粉乳の生産が減少し、その分全粉乳やチーズに生乳が仕向けられると見込んでいる。 なお、乳製品輸出総額は、乳製品の国際価格が下落傾向にあることを反映して、生産者乳価同様、前年度を10%以上下回ると見込まれている。
(調査情報部 根本 悠) |
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