需給動向 海外 |
バターの在庫は低水準で推移 |
2014年の生乳生産量は前年を上回って推移 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月19日に公表した「Milk Production」によると、2014年8月の生乳生産量は前年同月比2.5%増の780万9000トンとなった(図12)。生乳生産量は、2014年に入り前年同月を上回って推移しているが、これは、生産者乳価が高水準で推移していることに加え、飼料穀物価格の下落により酪農経営の収益性が向上していることで、生産者の増産意欲が高まっていることによる。USDAでは、今後も国内外の乳製品需要が増加するとみており、2014年の生乳生産量を前年比2.5%増の9357万6000トン、2015年を同3.0%増の9638万8000トンと見込んでいる。
バター、チーズの在庫は前年割れが継続 USDA/NASSが9月22日に公表した「Cold Storage」によると、2014年8月31日現在のバターの在庫量は、前年同月比37.4%減の7万5000トンとなり、2013年11月以降、前年同月を下回って推移している(図13)。また、同時点のチーズの在庫量も、同4.2%減の47万8000トンと前年割れが継続している(図14)。USDAでは、2013年後半からチーズなどの輸出が堅調に推移したこと、また、国内の消費が好調であることが、これら在庫量の減少要因としている。
バターの輸出量は急激に減少 米国農務省海外農務局(USDA/FAS)によると、2014年7月のバターの輸出量は、前年同月比38.8%減の5392トンとなった。堅調な輸出需要などを受け、2013年6月以降、前年水準を上回って推移していたが、2014年5月以降は前年水準を下回っている(図15)。この要因としてUSDAでは、堅調な国内需要などを背景とした在庫の減少により、米国産バターの価格が上昇していることを挙げている。また、ユーロなどが米国ドルに対して安いため、米国産バターの価格優位性が失われているとみている。 同年7月の輸出量を国別に見ると、最大の輸出先国であるサウジアラビア向けが同6.4%減の1796トン、イラン向けが同25.0%減の599トンとなった。一方、中国向けは同39倍となる835トンと大幅に増加している。 なお、同年7月のチーズの輸出量は、前年同月比18.0%増の3万2184トンと依然として好調を維持している。
(調査情報部 渡邊 陽介)
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