需給動向 国内 |
豚枝肉の省令価格、15カ月連続で前年同月を上回る |
平成26年8月の豚肉需給は、生産量は前年同月をやや下回る6万5886トン(前年同月比5.7%減)、輸入量は前年同月をかなりの程度上回る6万8904トン(同6.6%増)、推定出回り量は前年同月をやや下回る12万8873トン(同5.3%減)となり、推定期末在庫は21万785トン(同25.8%増)と、前月から約6000トンを積み増し、これで6カ月連続の増加となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 豚枝肉卸売価格、取引規格間の価格差は縮小傾向 平成25年7月から前年同月を上回って推移している豚枝肉卸売価格は、依然として高水準にあるものの、東京食肉市場における省令価格は、8月は1キログラム当たり563円(前年同月比7.0%高)、9月は同548円(同6.0%高)と、いずれも安定上位価格の同570円を下回った(図3)。 また、各規格間の価格差は、前年度より縮小する傾向で推移している。8月には上と中、中と並の価格差は、それぞれ1キログラム当たり20円まで縮小し、上と並の価格差は、25年9月の同78円と比較して約半分の、同40円となった(図4)。これは直近5年間で見て最も低い水準である。この要因としては、出荷頭数の減少により、上から中に、中から並に、それぞれ代替需要が発生していることが考えられる。
肉豚の平均枝肉重量は増加傾向 平成26年1月以降、肉豚の1頭当たり平均枝肉重量は、過去3年の実績を上回って推移しており、8月は過去3年の同月の平均(1頭当たり75.9キログラム)を1.5%上回る、同77.0キログラムとなった(図5)。特に7月、8月に大きく上回ったのは、今年の夏は、猛暑および残暑による影響が大きかった過去2年と比較すると気温が低かったため、気温上昇の増体への影響が小さかったことが原因と思われる。また、9月も昨年と比較して全国的な低温であったことを考えると、これから公表される9月分の枝肉重量についても、引き続き前年同月を上回る水準で推移すると思われる。
農林水産省が公表した肉豚出荷予測によると、26年4月頃に全国的に感染が拡大した豚流行性下痢(PED)の出荷頭数への影響を試算した結果、10〜12月の出荷頭数は、それぞれ4〜5%程度減少する見込みとなっている。PEDにより亡失した飼養頭数が即座に回復することはないが、前述の枝肉重量の増加傾向が続けば、生産量の減少幅は、出荷頭数のそれより縮小する。豚価は例年と比較して堅調に推移しており、直近における規格間格差は縮小傾向にある。加えて、円安による燃料費などのコスト上昇分との兼ね合いになるであろうが、今年10〜12月期の配合飼料価格は、前期と比較して低下しており、生産コストが低下する可能性がある。これらのことから、年末の需要期に向け、生産者は1頭当たり重量を大きくして出荷する流れもあるのではないかと考えられる。今後の肉豚出荷状況に注目したい。 (畜産需給部 三田 修司)
|
元のページに戻る