需給動向 海外

◆米 国◆

豚飼養頭数減少も、繁殖雌豚は増加


豚総飼養頭数、前年同月比2.3%減とわずかな減少

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月26日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2014年9月1日現在の豚総飼養頭数は、前年同月比2.3%減の6536万1000頭とわずかな減少となった(表2)。内訳を見ると、2014年に入り横ばいで推移していた子取用雌豚頭数は同1.8%増の592万頭となり、前年同月を上回った。一方、肥育豚頭数は、2013年から発生している豚流行性下痢(PED)の影響により、子豚生産頭数が減少したことを背景に同2.7%減の5944万1000頭となり、前年を下回る状況が続いている。

表2 豚飼養頭数の内訳
資料:USDA

子豚生産頭数の減少に歯止め、1腹当たりの産子数も増加

 肥育豚頭数の内訳を見ると、2013年から続く子豚頭数の減少により、すべての階層で前年を下回る結果となった。しかし、180ポンド(約81.6キログラム)未満の層の減少割合は、いずれも2014年に入り最も低い値となっており、少しずつ肥育豚の減少に歯止めがかかっている。この要因として現地関係者は、PEDの発生が夏場に入って減少していることに加え、政府や生産者団体からのPED予防策などの情報が生産者に浸透してきていることを挙げている。また、1腹当たりの産子数は2014年6月、7カ月ぶりに10頭を上回るなど回復基調にある(図7)。

図7 1腹当たりの産子数の推移
資料:USDA

子取用雌豚頭数、市場関係者の予想を上回る

 一方、子取用雌豚頭数は、2014年に入りほぼ横ばいで推移していたが、2014年9月1日時点で前年同月を上回り、2009年9月以降では最多を記録した(図8)。この要因として、豊作による飼料穀物価格の下落で生産コストが減少していることや、肥育豚価格が上昇し収益が上向いていることで生産者の増頭意欲が高まっていることが挙げられる。市場関係者によると、今後も飼料穀物価格が下落し、肥育豚価格も高水準で推移すると見込まれることから、2014年12月時点の子取用雌豚頭数も前年水準を上回るとの見方が強くなっている。

図8 子取用雌豚飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS
  注:各月の1日の飼養頭数
(調査情報部 山神 尭基)

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