需給動向 国内

◆牛 肉◆

輸入品推定期末在庫、6カ月ぶりに10万トンを上回る


 平成26年7月の牛肉需給は、交雑牛のと畜頭数が前年を上回ったものの、和牛および乳牛のと畜頭数が前年を下回ったことから、生産量は3万1195トン(前年同月比1.2%減)と、前年をわずかに下回った。輸入量は4万6800トン(同32.3%減)と、セーフガード(SG)回避のために前年6月から7月に通関を繰り延べる動きが見られた反動により、前年同月を大幅に下回った。推定出回り量は7万2910トン(同10.5%減)となり、推定期末在庫は11万5674トン(同5.9%減)となった。推定期末在庫は前年同月を下回っているものの、最近は徐々に増加傾向で推移しており、前月から4977トン積み増した。特に推定期末在庫の約9割を占める輸入品については、昨年秋以降、減少傾向で推移していたものの、現地相場の先高感などにより、早めの手当てが行われているとみられ、6カ月ぶりに10万トンを上回る水準となった。(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

平成25年度の牛肉自給率、40%台前半で推移

 平成25年度の牛肉自給率(重量ベース)は、国内生産量が50万6000トン、輸入量が76万5000トン、国内消費仕向量が123万9000トンとなり、前年度より1ポイント減少の41%となった(図1)。この減少要因の1つとして、25年2月に措置された米国産などの月齢制限緩和に伴う輸入量の増加が挙げられる。なお、国民1人・1年当たりの供給純食料は6.0キログラム(前年度比1.2%増)となった。

 これまでの牛肉自給率の推移を振り返ってみると、輸入自由化や国内外でのBSE発生などを契機に大きく変動してきた。昭和50年代までおおむね70%を上回っていた自給率は、輸入自由化までの過渡期における輸入枠拡大と共に減少し始め、自由化後における大幅な輸入量の増加により、平成7年度には30%台に落ち込むまでとなった。

 輸入量が大きく増加した背景には、飼養規模の違いなどによる大きな内外価格差に加え、人口の増加および食習慣の変化により牛肉需要が増加していく中で、上述のとおり、輸入枠の拡大、輸入自由化、その後の関税率低下があったとみられる。さらに、これを冷蔵・冷凍技術の向上、物流インフラの整備・拡大などが下支えしたものと考えられる。

 この間、自給率の減少が続いていたが、13および14年度におけるわが国でのBSE発生により、それまで右肩上がりで推移していた需要量が大幅に落ち込んだ。加えて、15年度に米国産などの輸入停止措置がとられたことで、輸入量が急減し、自給率はやや増加した。その後は、輸入停止措置が解除されたものの、月齢制限措置もあり、輸入量の大幅な増加が見られなかったことから、自給率は40%台前半で推移している。

 飼料自給率を考慮した牛肉自給率は、粗飼料に国産穀物を使用している農家もあるものの、濃厚飼料のほとんどを輸入穀物に頼っていることから、約20年間にわたって10%前後で推移している。しかし、最近では、飼料用米の作付面積増大やエコフィードの活用促進などの取り組みが行われていることから、飼料自給率の向上とともに、飼料自給率を考慮した牛肉自給率の向上も期待したい。
図1 牛肉生産量、輸入量および自給率の推移
資料:農林水産省「食料需給表」
  注:国内生産量、輸入量は枝肉ベース
(畜産需給部 山口 真功)

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