需給動向 海外

◆ブラジル◆

強い海外需要などにより、
2015年の生産量は過去最高の予測


2015年の生産量は1300万トン超の予測

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が8月14日に公表したブラジルの鶏肉に関するレポートによると、2015年の同国の鶏肉生産量は、前年比5.0%増の1331万2000トンと見込まれている(図22)。この数量は、ブラジルでの肉牛供給不足に起因した牛肉価格の高騰により、鶏肉へと需要がシフトして過去最高を記録した2011年の1286万トンを上回り、初めて1300万トンを超える水準である。増加要因についてUSDAは、ブラジル・レアル安による輸出環境の改善、2014/15穀物年度(10月〜翌年9月)の大豆およびトウモロコシの記録的な豊作予想による飼料コストの削減、また、ブラジル産鶏肉に対するロシアなど海外からの強い需要などにより、農家の生産意欲が高まることを挙げている。
図22 鶏肉生産量の推移
資料:APINCO、USDA/FAS
注1:2012年までは、APINCO,2013年以降は、USDA/FASの公表によるもの
  2:2013年は速報値、2014、15年は予測値

2015年の輸出量は前年比11.8%増の見込み

 2015年の輸出量についてUSDAは、需要の拡大に伴い前年比11.8%増の402万トンと過去最高を予測している。ロシアは2014年8月、ロシアの安全保障を図るための特別経済措置を発令し、ロシアに対し経済制裁を実施している国からの農畜産物の輸入を禁止したが、ブラジルは規制の対象外であることから、同国への輸出拡大が期待されている。また、食肉消費量が増加している中国向けについても、今後の輸出増加が期待されている。

 最近の鶏肉輸出量について見ると、2014年1〜6月の輸出量は、前年同期比0.7%増の181万8000トンとなった。輸出先を国別に見ると、最大の輸出先はサウジアラビアで同7.0%減の31万8889トン、次いで日本向けが同2.0%減の19万4218トンとなっている。日本向けは、円安で推移した為替相場の影響などによるものとみられる。また、中国向けは、同国での鳥インフルエンザ発生による輸入需要の拡大などにより、同15.2%増の10万6229トン、ロシア向けは、同13.8%増の2万3024トンとそれぞれかなりの程度増加している(表2)。
表2 鶏肉輸出量の推移
資料:USDA

2015年の生産費は5%減少の見込み

 2015年のブロイラーの生産費は、飼料穀物の豊作が見込まれることで、前年から5%の減少が見込まれている。一方、ブロイラーの生産者価格は、輸入需要などを要因に同6%高が見込まれており、生産者の収益性の上昇が期待されている。なお、2014年1〜8月のブロイラー生産者価格は、前年同期比2.1%安の1キログラム当たり2.33レアル(110円:1ブラジル・レアル=47円)となっている。

(調査情報部 山ア 良人)

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