畜産の情報−中国の鶏肉の需給動向 2014年の生産、消費は前年から減少の見込み− 2014年10月
需給動向 海外

◆中 国◆

2014年の生産、消費は前年から減少の見込み


2014年の鶏肉生産・消費はAIの影響で低迷

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2014年の中国の食鳥処理羽数は、前年比2.0%減の99億羽、鶏肉生産量は同4.9%減の1270万トンと見込まれる(表3)。国内の鶏肉生産量は、これまで堅調に増加してきたが、2013年4月以降、沿岸部を中心に断続的に発生した鳥インフルエンザ(AI、H7N9型)の影響で、一転して減少傾向となった。中国食肉協会によると、このAIによる鶏肉産業全体の経済損失は1000億元(1兆7200億円、1元=17.2円)を超えるとされる。

 中央政府は2013年、鶏肉の生産回復策として原種鶏(GP)生産部門に対する6億元(約103億円)の補助を決定した。しかし、この補助額はGP1羽当たりでは50元(860円)と、一般的なGPの生産費を大きく下回るものであったことから、十分な生産振興につながらなかったといわれている。一方、中国農業部は2014年2月、AIの収束を目的に、農場や市場の監視・監督を強化するための施策を打ち出しており、徐々にその効果が表れているといわれている。
表3 鶏肉需給の推移
資料:USDA
注1:もみじ(鶏の足)を除く
  2:2013年は推定値、2014年は予測値
 USDAによると、AIの影響により消費者の多くが鶏肉の購入を控えたことから、2014年の消費量は前年比5.1%減の1251万トンと見込んでいる。なお、小売価格(丸鶏)を見ると、AIが発生していた2013年4月から前年を下回る状況が続いたが、2014年4月に入りAIが収束の兆しを見せたことで鶏肉消費は回復に向かい、現在は上昇基調にある(図23)。

 AIのまん延を教訓に上海市では、市場での生体販売を取り締まる動きが強まっている。これは消費者の購買行動を生体から生鮮鶏肉に促すものであり、同市では生鮮鶏肉の取扱量も増えているとされる。こうした動きが中国全土に広がれば、鶏肉の流通・消費形態にも変化が生じるとみられている。
図23 鶏肉(丸鶏)の小売価格の推移
資料:中国国家統計局よりALIC作成
  注:50都市の平均価格

2014年1〜7月の冷凍鶏肉の輸入量は前年同期比26.1%減の24万トン

 2013年の冷凍鶏肉の輸入量は、前年比14.2%増の54万117トンとなった。一方、2014年1〜7月の同輸入量は前年同期比26.1%減の24万3232トンとなり、AIが収束するにつれて輸入需要が低下している。(図24)。主な輸入相手国はブラジル、米国であり、この2カ国でシェアを二分している。ただし、最近の輸入傾向を見るとブラジルからは手羽を中心に、米国からモミジを中心に輸入されており、部位による市場のすみ分けが行われている。

 こうした中、中国商務部は7月9日、米国産鶏肉に課していたアンチダンピング税などを引き下げると発表した。これは、2013年9月の世界貿易機構(WTO)による裁定を受け、ダンピングの事実や国内産業の損害状況などについて中国側が再調査を行った結果によるものである。しかし、今回の引き下げ幅が小さく、引き続き課税が継続されることから、今後の米国産鶏肉の大幅な輸入量の増加は困難とみられている。
図24 冷凍鶏肉の輸入量の推移
資料:「Global Trade Atlas」
  注:HSコード020714

2014年1〜7月の鶏肉調製品輸出量は前年を上回るも、食品事件の影響が懸念

 2013年の鶏肉調製品の輸出量は、最大の輸出先である日本向けが同1.1%減の22万4129トン、これに次ぐ香港向けが同2.6%減の2万382トンとなったものの、全体では前年比1.1%増の26万6939トンとなった(図25)。

 日本向けについては、輸出価格は2013年10月以降、1トン当たり4400〜4500米ドル(46万2000〜47万2500円:1米ドル=105円)の範囲で安定して推移しているが、輸出量は前年同月を下回る状況が続いている。

 2014年1〜7月の日本向け輸出量を見ると、前年同期比5.6%増の12万9584トンとなり、前年を上回るペースとなった。しかし、2014年7月に発覚した中国食品加工会社による期限切れ鶏肉の使用問題を受けて、日本の大口需要者は、中国産から国内産やタイ産に切り替える動きを見せている。このため、日本向け輸出は、今後減少が見込まれている。
図25 鶏肉調製品の輸出量および日本向け輸出価格の推移
資料:「Global Trade Atlas」
  注:HSコード160232
(調査情報部 木下 瞬)

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