需給動向 海外

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2014年1〜7月の鶏肉生産は好調、輸出量も増加


2014年1〜7月の鶏肉生産量は各月ともに前年同月を上回る水準

 タイ農業・協同組合省によると、2014年7月の食鳥処理羽数は、前年同月比13.2%増の1億378万羽、鶏肉生産量も同13.2%増の14万2174トンと大きく増加した。

 また、同年1〜7月までの鶏肉生産量の累計は、前年同期比10.3%増の97万1857トンとなった(図16)。

 タイ国内で鶏肉生産量が増加している背景として、資金繰りの悪化で食鳥処理場を一時閉鎖していた大手インテグレーターが、2014年から稼働を再開し、徐々に処理羽数を増やしていることや、豚肉生産量の減少により豚肉の小売価格が上昇し、比較的価格が安定している鶏肉に需要がシフトしていることなどが挙げられる(図17)。
図16 月別鶏肉生産量の推移
資料:タイ農業・協同組合省の公表資料に基づきALIC作成
図17 鶏肉と豚肉の部分肉価格の推移
資料:タイ国内通商局

2014年1〜7月の鶏肉輸出量は前年同期からやや増加

 2014年1〜7月の鶏肉輸出量は、輸出の7割以上を占める鶏肉調製品は減少したものの、冷凍鶏肉(カット品)および冷凍加塩鶏肉が増加したことにより、全体では32万3710トン(前年同期比5.0%増)とやや増加した(図18)。

 品目別の内訳を見ると、冷凍鶏肉(HSコード:020714(カット品))が6万3594トン(前年同期比29.2%増)と大幅に増加した。最大の輸出先であるラオス向けが2万9969トン(同11.8%増)、10年ぶりに輸出が再開し順調に需要が拡大している日本向けが2万198トン(同皆増)と増加したことが要因となっている(図19)。なお、EU向けは、輸出価格(FOB)が低下しているブラジル産に需要がシフトしていることで、7771トン(同17.8%減)と大幅に減少した。

 また、冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は、輸出の9割以上を占めるEU向けの増加により、3万1727トン(同13.6%増)とかなり大きく増加した(図20)。

 一方、鶏肉調製品(HS:160232)は、22万8389トン(同1.2%減)とわずかに減少した。EU向けが10万6142トン(同7.2%増)とかなり増加したものの、日本向けが9万7139トン(同11.3%減)とかなり減少したことが影響している(図21)。日本向けの減少要因として、鶏肉調製品の一部が冷凍鶏肉に置き換わっていることや、タイ産より安価な中国産の輸入が増加していることが挙げられる。なお、中国から日本への鶏肉輸出は、7月に発覚した同国の食品加工会社による消費期限切れ鶏肉の使用問題の影響を受け、今後はタイ産にシフトすると見込まれている。
図18 鶏肉輸出量(1〜7月期)
資料:「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:020714(冷凍鶏肉カット品)、021099(冷凍加塩鶏肉)、
   160232(鶏肉調製品)を合計した値
図19 輸出先別冷凍鶏肉(カット品)輸出量(1〜7月期)
資料:「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:020714
図20 輸出先別冷凍加塩鶏肉輸出量(1〜7月期)
資料:「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:021099
図21 輸出先別鶏肉調製品輸出量(1〜7月期)
資料:「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:160232
(調査情報部 中島 祥雄)

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