需給動向 海外

◆米 国◆

生産量は、今後も増加傾向で推移する見込み


2014年第2四半期の生産量は好調を維持

 米国農務省農業経済調査局(USDA/ERS)が8月18日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2014年第2半期(4〜6月)の鶏肉生産量は、前年同期比1.6%増の436万2000トンとなり、2012年第4四半期以降7期連続で前年同期を上回った(図13)。今期の増加要因としてUSDAは、処理羽数が減少しているものの、ブロイラーの処理時平均生体重が前年同期比1.6%増の2.7キログラムに増加したことを挙げている。

 また、USDAは、飼料穀物価格の下落による飼料コストの低下と堅調な鶏肉価格による増産意欲の高まりを背景に、生産量は今後も増加すると見ており、2014年の第3四半期が445万7000トン(前年同期比1.5%増)、第4四半期が438万9000トン(同1.4%増)、通年では前年比1.5%増の1741万8000トンに達すると見込んでいる。
図13 鶏肉生産量の推移
資料:USDA
  注:2014年第3、4四半期は予測値

需要増から鶏肉の在庫は低水準

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が8月22日に公表した「Cold Storage」によると、7月末時点の鶏肉在庫量は、前年同月比12.9%減の27万7900トンとなった(図14)。在庫量は、前月から積み増した(前月比7.5%増)ものの、2014年3月以降前年同月を下回って推移しており、価格が高騰している牛肉や豚肉から比較的安価な鶏肉に需要がシフトしていることで、低水準で推移しているとみられる。また、部位別の在庫量を見ると、手羽はスポーツ観戦などでの需要が増加していることで同34.2%減と大幅に減少した。今後の在庫の見通しについてUSDAは、国内の鶏肉需要が引き続き堅調に推移するとの見通しから、2014年下期も前年の水準を下回って推移すると見ている。
図14 冷凍鶏肉在庫量の推移
資料:USDA

2014年下半期の輸出量はやや減少見込み

 USDA/ERSによると、2014年上半期の鶏肉の輸出量は、前年同期比1.2%増の166万トンとなった(図15)。主要輸出相手を国別に見ると、メキシコは同6.8%増の35万3000トン、台湾は同58.9%増の7万トン、香港は同52.5%増の5万4000トンとなった。一方、メキシコに次いで輸出量が多いロシア向けは同10.7%減の12万4000トンとなり、次いで輸出量が多いアンゴラは9万5000トン(同2.7%減)、カナダは7万1000トン(同12.9%減)となった。

 また、ロシアは2014年8月、ウクライナ情勢不安を起因とした米国などによる経済制裁に対抗して、米国産鶏肉を含む農産品輸入を1年間停止すると発表した。このため、USDAでは、下半期の輸出量を、前年同期比4.5%減の161万5000トンと見込んでいる。
図15 鶏肉輸出量の推移
資料:USDA
  注:2014年下半期は予測値
(調査情報部 渡邊 陽介)

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