需給動向 国内 |
平成26年8月の鶏卵卸売価格(M玉、東京)は、13カ月連続して前年同月を上回る1キログラム当たり192円(前年同月比17円高)と依然として高水準で推移した(図8)。 卸売価格は、2月をピークに下落が始まり、梅雨入り以降、夏場にかけテーブルエッグ、加工・業務筋ともに需要が鈍化し、例年どおりの下げ基調で推移していた。 8月に入ると横ばいで推移していたが、7月下旬から8月上旬まで高温となった影響により卵重が低下し、生産量が減少した中、学校給食の再開に向けた手当てが活発になったこと、大手ファストフードなどの加工・業務筋からの引き合いが強まったことなどを受け、8月中旬以降は日を追うごとに上昇を続けた。 8月 1〜18日 185円/kg 19〜20日 190円/kg 21〜25日 195円/kg 26〜27日 205円/kg 28〜31日 210円/kg 今後については、供給面では、気温の変化による影響はあるものの、餌付け羽数が増加していることから、一定の生産量が確保されるものと見込まれる。 需要面では、年末の最需要期に向け、量販、加工・業務筋から一定の引き合いが継続すると思われる。従って、鶏卵相場は、例年どおり、秋から冬にかけて上昇するとの声が多い。
鶏卵自給率、平成25年度も95%と高水準平成25年度の鶏卵自給率(重量ベース)は、国内生産量が252万2000トン、輸入量が12万4000トン、国内消費仕向量が264万5000トンとなり、前年度と同率の95%と、高水準で推移した。また、鶏卵の国民1人・1年当たりの供給純食料は前年度並みの16.8キログラムとなった(図9)。なお、飼料自給率を考慮した鶏卵自給率は、輸入飼料依存率が高いことを受け、約40年間にわたって10%台前半で推移しており、25年度も12%(前年度比1ポイント増)となった。 畜産物の自給率(重量ベース)が軒並み下落する中、鶏卵自給率は、昭和45年度が100%(完全自給型)で、その後、約半世紀にわたって90%台後半の水準を維持している。 この自給率の高さは、「生卵」として食される日本独特の文化に起因しているところが大きいと考えられる。ほかの畜産物の輸入量が増加する中、賞味期限が短い(特に生食を念頭にした日本では、諸外国に比べ極端に短く設定されている)鶏卵はその例外となった。このほか、卵の殻が割れやすく、長距離輸送に適さなかったことも自給率が高い一因と思われる。 加工・業務用としての乾燥卵、液卵も輸入されているが、「物価の優等生」と言われる鶏卵の場合、比較的安価に国産原料として調達できるため、輸入シェアは数%にとどまっている。
(畜産需給部 藤原 琢也)
|
元のページに戻る