需給動向 国内 |
平成26年6月の牛肉需給を見ると、生産量は、和牛のと畜頭数の減少傾向が継続しているものの、乳牛および交雑牛のと畜頭数が前年を上回ったことから、2万7498トン(前年同月比1.3%増)と、11カ月ぶりに前年を上回った。また、輸入量は4万4195トン(同23.3%増)と、セーフガード(SG)回避の動きが見られた前年の反動により大幅に上回った。推定出回り量は6万4838トン(同16.6%増)となり、推定期末在庫は11万697トン(同6.6%増)と、前月より6763トン積み増し、4カ月ぶりの11万トン台となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 このような需給状況の中、平成26年7月の国産枝肉卸売価格(速報値)は、東京市場では和牛去勢A−4が1848円(前年同月比0.8%高)、交雑種去勢牛B−3が1239円(同0.6%安)となった(図1)。国産枝肉卸売価格は消費税込みの価格となっているため、税抜き価格で比較するといずれも前年の価格を下回っている。 なお、乳用種去勢牛B−2は809円(同5.5%高)と、引き続き堅調に推移している。これは競合関係にある輸入品仲間相場の高止まりなどにより、比較的引き合いが強いことが背景にあるとみられる。 一方、大阪市場は、和牛去勢Aー4が1891円(同1.9%高)、交雑種去勢牛Bー3が1244円(同1.1%高)となった。税抜き価格で比較すると、東京市場と同様の様相を示しているものの、集荷頭数が減少していることから、東京市場に比べて、相場がやや下支えされているものとみられる。 国産枝肉卸売価格は、国内牛肉生産量の減少傾向に加え、景気回復基調などにより、一昨年の9月頃から前年同月比で2ケタ台の伸び率が継続していた。しかしながら、今年の初め頃から、徐々に伸び率が縮小し、これまでの傾向が見られなくなってきている。 牛肉の家計消費量、減少傾向が継続こうした背景を外食産業の動向と家計消費から見てみたい。(一社)日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によると、牛肉消費の約6割を占める外食産業は、比較的堅調な需要が継続している。一方、総務省の「家計調査報告」によると、牛肉消費の約3割を占める家計消費では、4〜6月における一人当たりの牛肉消費量は、消費増税や枝肉卸売価格高に伴う特売頻度の減少などによる影響があったとみられ、前年同期比7.8%減と、かなりの程度減少していることがわかる。「外食産業市場動向調査」および「家計調査報告」は国産牛肉だけでなく、輸入牛肉も調査の対象に含まれている。そのため、一概に家計消費量の減少だけが要因とは言えないまでも、家計消費量の大幅な減少は、国産枝肉卸売価格に大きく影響しているものと推測される。また、この状況が継続すれば、牛肉需要全体の減退につながりかねないため、一つの懸念材料となっていると言えよう。
(畜産需給部 山口 真功)
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