2014年7月1日時点の牛飼養頭数、前年比2.9%減の9500万頭
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が7月25日に公表した牛の飼養動向調査「Cattle」によると、2014年7月1日時点の飼養頭数は、2012年同日(注)比2.9%減(280万頭減)の9500万頭となり、同月時点の飼養頭数では1973年以来、過去最低を記録した(図1)。牛の飼養頭数は、2011、2012年に発生した干ばつの影響で繁殖雌牛のと畜が進んだことなどから牛群が縮小し、減少傾向で推移している。現在、飼料価格は豊作見通しなどから下落傾向にあり、肉牛生産者の経営環境は改善に向かっているが、テキサス州など南部主要肉牛生産州の一部では、依然として干ばつが継続中であることから、牛群の回復にはしばらくの時間を要するとみられている。
(注)2013年7月1日時点の数値は、公表されていない。
図1 牛飼養頭数の推移 |
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資料:USDA/NASS
注1:各年7月1日現在
2:2013年は公表数値なし |
肉用繁殖雌牛頭数はわずかに減少
飼養頭数を種類別に見ると、肉牛生産の基盤となる肉用繁殖雌牛(経産牛)は、2012年比2.5%減(76万7000頭減)の2973万3000頭とわずかに減少した(表1)。この減少は、2011年に主要肉牛生産州で発生した干ばつの影響による放牧環境の悪化から生産者が繁殖雌牛の淘汰を進めたことが要因とみられている。また、肉用繁殖後継牛の頭数も、同2.4%減(10万頭減)の410万頭と減少した。
肉用繁殖雌牛のと畜頭数は大幅に減少
干ばつの影響により、繁殖雌牛頭数が依然として低水準で推移する中、USDAが7月25日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2014年6月の繁殖雌牛のと畜頭数は、前年同月比20.3%減(5万4600頭減)の21万4300頭と大幅に減少し、2013年6月以降、前年を下回って推移している(図2)。減少の要因は、中西部の主要肉牛生産州で、干ばつの影響が改善に向かっていることから、牛群再構築の動きが高まっているものとみられている。
表1 種類別飼養頭数の推移 |
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資料:USDA/NASS
注1:表中の※1は500ポンド以上、※2は500ポンド未満
2:各年7月1日現在
3:2013年は公表数値なし |
図2 と畜頭数の推移(肉用繁殖雌牛) |
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資料:USDA |
と畜頭数減により、肥育牛価格は高値で推移
繁殖雌牛と畜頭数の減少などにより、2014年1〜6月のと畜頭数が前年同期を下回る中、肥育牛価格は高値で推移している。米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、6月の肥育牛価格(1100〜1300ポンド)は、前年同月比22.4%高の、100ポンド当たり149ドル(1キログラム当たり約344円:1米ドル=104円)となり(図3)、堅調な輸出需要や国内の季節的な需要増(バーベキュー需要など)を背景に価格は高止まりを続けている。なお、USDAでは、今後も肉牛飼養頭数の減少を背景としたと畜頭数減少などにより、2014年の肥育牛価格は、高値で推移するものと見込んでいる。
図3 肥育牛価格の推移 |
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資料:USDA |
(調査情報部 山神 尭基)
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