需給動向 国内 |
10カ月ぶりに輸入量が急増粉乳調製品等(表1)の輸入量は、平成23年春頃からおおむね増加傾向で推移していたが、25年9月以降は前年同月を下回り、25年度は前年度比1.0%増の16万8995トンとわずかな増加にとどまった。26年度も5月までは減少傾向であったが、6月は1万5350トン(前年同月比22.8%増)と10カ月ぶりに大幅な増加に転じた(財務省「貿易統計」(図5))。なお、25年度の輸入量を重量ベースで国別に見ると、シンガポールが全体の50.4%を占め、以下韓国28.5%、豪州11.7%となっている。
粉乳から需要がシフト輸入量が急増した要因としては、国内の脱脂粉乳価格の上昇によって、粉乳需要が調製品等にシフトしつつあるためと考えられる。国内の脱脂粉乳の大口需要者価格(卸売価格)は、26年4月の消費増税に加え、供給量の減少から6月に1キログラム当たり664円と過去最高値となった。一方で、粉乳調製品等の輸入価格(CIF価格)は、25年度末頃から横ばいで推移しており、脱脂粉乳の代替品として、需要が高まりやすい状況になっていると言える(図6)。今後の輸入量に注目国内の脱脂粉乳生産量は、原料となる生乳生産量の減少などから、25年7月以降前年同月をかなり大きく下回って推移している。そのため、26年6月末時点での民間在庫量は3万9158トン(前年同月比26.2%減)と、前年同月を大幅に下回った。こうした中、乳製品の国際市況が弱含みで推移していることから、今後、粉乳調製品等の輸入量がどの程度増加するかが注目される。
(畜産需給部 岡 久季)
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