需給動向 海外

◆米国◆

2014年第2四半期の生乳生産は前年を上回る


好調な乳価を受け、生乳生産量は増加傾向

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が7月18日に公表した「Milk Production」によると、2014年第2四半期(4〜6月)の生乳生産量は、前年同期比1.6%増の2396万トンとなり、第1四半期に続いて好調を維持している(図16)。この増加の要因は、国内外の乳製品需要の増加により生産者乳価が高水準で推移していることや(図17)、豊作による飼料穀物価格の下落により生産者の収益性が改善し、増産意欲が高まっていることが挙げられる。

 生乳生産量を州別に見ると、主要生産州であるカリフォルニア州(同1.4%増)やウィスコンシン州(同0.2%増)で増加となったことに加え、これらに次ぐ生産量を誇るアイダホ州やニューヨーク州でも前年同期を上回った。なお、USDAでは、2014年の飼料穀物価格は、豊作が予想されることで低水準での推移とみており、飼料給与量の増加により、生乳生産については、第3四半期が前年同期比3.2%増、第4四半期が同3.9%増と見込んでいる。
図16 生乳生産量の推移
資料:USDA/NASS
  注:2014年第3四半期および第4四半期は、予測値。
図17 生産者乳価の推移
資料:USDA

生産者による乳用牛の保留が増加

 USDAが7月24日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2014年6月の乳用牛のと畜頭数は、前年同月比9.4%減の19万9500頭と、かなりの程度減少した(図18)。乳用牛のと畜頭数は、2013年10月以降、9カ月連続で前年を下回って推移している。この減少要因として、高水準で推移する生産者乳価を受け、生産者ができる限り乳用牛を保留し、生乳生産を増やしたい意向があるとみられている。
図18 乳用牛のと畜頭数の推移
資料:USDA/NASS

飼料穀物価格の下落により、生産コストは減少

 USDAが7月25日に公表した「National milk cost of production」によると、2014年6月の生乳生産コストは、飼料穀物価格が高騰した2012年6月と比べ、4.4%減の100ポンド当たり16.52ドル(1キログラム当たり約38円:1米ドル=104円)となり、2013年8月以降、前年を下回って推移している(図19)。

図19 生乳生産に占める費用の推移
資料:USDA
  注:2014年3月〜6月の数値は公表なし。
 減少の要因は、主に2013年の飼料穀物の豊作により飼料価格が下落し、購入飼料費が減少していることが挙げられる。一方、自家飼料費が増加しているのは、生産者が2012年の干ばつによる飼料価格高騰により厳しい経営環境に立たされた経験から、なるべく自家飼料の供給量を増やそうとする傾向が高まっているためとみられる。

(調査情報部 山神 尭基)

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