需給動向 海外

◆中国◆

豚肉の供給減少により豚価は反騰


豚価の下落により豚飼養頭数は減少

 中国農業部によると、2014年6月の豚飼養頭数は4億2893万頭(前年同月比5.1%減)と、前年同月をやや下回った(図13)。同様に繁殖母豚も減少しており、4593万頭(同8.3%減)となった。中国では、2014年1月の春節(旧正月)以降、豚肉の供給過剰により豚出荷価格は下落基調となり、4月末には1キログラム当たり11.05元(183円:1元=16.6円、前年同期比12.4%安)となった(図14)。これは2010年7月以来の低水準であり、生産者の経営環境がかなり悪化したとみられている。このため、多くの生産者が2014年上半期に豚の早期出荷や繁殖母豚の淘汰を行ったとみられ、現在の飼養頭数減少を招くこととなった。

図13 豚飼養頭数の推移
資料:中国農業部よりalic作成
  注:4000カ所の定点観測による推計値
図14 豚出荷価格の推移
資料:中国国家発展改革委員会

 中国では、豚肉需給が均衡するための繁殖母豚頭数の警戒ラインは4800万頭といわれており、この頭数を割り込むと生産頭数の減少から豚価の上昇につながるとされる。このため、豚出荷価格は5月に反騰し、7月は同13.56元(225円)となった。しかし、政府が収益性の指標値とする豚/穀物比(注)は5.3と、損益分岐点の5.5を下回っており、生産者の収益は依然として赤字が続いている。

 一方、子豚の価格について、7月は同23.46元(389円、前年同月比17.0%安)と上昇が見られず、生産者の増頭意欲は弱いことがうかがえる(図15)。現地報道などによると、小規模・零細経営では廃業が進み、一部の生産者は、さらなる価格上昇を見込んで、売り惜しんでいるとされる。飼養頭数も減少していることから、今後、供給量のさらなる減少が予想されている。

(注)1キログラム当たり豚肉(生体)価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格、政府の目標基準は6である。
図15 子豚平均価格の推移
資料:中国商務部

2014年上半期の冷凍豚肉の輸入量は前年から増加

 1〜6月の冷凍豚肉の輸入量は、前年同期比14.5%増の22万7387トンとなった(表3)。輸入先を国別に見ると、最大の輸入先は米国であり、これにスペイン、ドイツと続く。2014年上半期は、米国からの輸入量が前年同期57.1%増の5万6859トンと大幅に増加したとともに、英国、スペイン、デンマークなどEU諸国からの輸入量の伸びが顕著であった。

 なお、ポーランドについては、2月19日に同国で発生が確認されたアフリカ豚コレラにより禁輸措置が取られたため、同国からの輸入量は5月以降急減している。
表3 冷凍豚肉の国別輸入量
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード020329
(調査情報部 木下 瞬)


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