需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成26年6月の豚肉輸入量、7万トンを下回るものの高水準


 平成26年6月の豚肉需給は、生産量が前年同月並みの6万8099トン、輸入量6万6237トン(前年同月比26.0%増)、推定出回り量12万2360トン(同2.6%減)となり、推定期末在庫は18万8298トン(同8.8%増)と、前月から1万1938トンを積み増した(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 推定期末在庫については、3月末からは約2万6000トン増加しているが、この要因は4月以降の輸入量が高水準で推移していることにある。

 26年度に入り、4月、5月と連続して7万トンを上回って推移していた豚肉輸入量は、6月に6万6237トンと、3カ月ぶりに7万トンを下回ったものの、依然として高水準にある。輸入量の内訳を見ると、冷蔵品は2万1811トン(同3.1%減)と、前年同月をやや下回ったものの、冷凍品は4万4426トン(同47.8%増)と、前年同月を大幅に上回った(図2)。

 冷蔵品は、25年4月以降、前年同月比で増加を続けていたが、6月は15カ月ぶりに下回り、輸入量も同期間で最も低い水準となった。これは、冷蔵品輸入量の9割以上を占める米国およびカナダにおいて、現地相場が大幅に上昇したことから、必要最低限の量を輸入するにとどまったためとみられる。

 一方で冷凍品は、24年11月以降、前年同月比で減少傾向にあったものの、本年4月以降は3カ月連続で前年同月を上回り、4万5000トン前後の輸入量が継続している。なお、国別ではメキシコおよびヨーロッパからの輸入が増加している。
図2 豚肉輸入量の推移

資料:財務省「貿易統計」

第1四半期のセーフガード発動は回避

 財務省「貿易統計」において、本年4月の輸入量が公表された5月末の段階で、8月からのセーフガード(SG)発動が懸念されたことから、6月は冷凍品の通関を翌月に繰り延べる動きがあった。しかし、6月の冷凍品輸入量の実績は4、5月並みとなり、結果として前月比で約5200トン減少した冷蔵品でバランスを取る格好となった。

 財務省が7月31日に告示した26年度第1四半期(4〜6月)の豚肉等の輸入量は19万1577トンとなり、SG発動基準数量の20万8544トンを下回ったことから、8月からの発動はなくなった。しかし、7月の輸入量には6月から繰り延べた分が乗ることになるため、6月より高水準となることが予想される。

 なお、貿易統計における4〜6月の輸入量累計は、すでに21万1407トンに達しているが、財務省が告示する輸入量には、日本と経済連携協定(EPA)を締結しているメキシコおよびチリから、関税割当の適用を受けて輸入される量は含まれない。ただし、前述の通りヨーロッパからの冷凍品輸入量が増加しており、今後も増加傾向で推移するようであれば、第2四半期においても再びSG発動が懸念されると考えられる。SGの発動が回避されるかどうか、引き続き今後の豚肉輸入動向を注視する必要がある。

(畜産需給部 三田 修司)

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