飼養頭数は前年を下回って推移
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月27日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2014年6月1日現在の豚飼養頭数は、前年同月比5%減の6212万8000頭となった(図8)。USDAは、2013年4月から米国で発生している豚流行性下痢(PED)の影響が主な減少要因としており、豚飼養頭数は2013年6月以降、前年同月を下回って推移している。
飼養頭数の内訳を見ると、繁殖豚は前年同月とほぼ同数の585万5000頭となったものの、肥育豚は前年同月比5%減の5627万3000頭となり、肥育豚の減少が目立つ結果となった。
図8 豚飼養頭数の推移 |
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資料:USDA |
平均小売価格は前年を大きく上回って推移
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、豚飼養頭数の減少を背景に、肥育豚価格は、2013年5月以降概ね前年同月を上回って推移しており、7月の平均価格は、前年同月比32%高の100ポンド当たり96米ドル(1キログラム当たり222円:1米ドル=104円)となった(速報値)(図9)。USDAでは、2014年の平均価格を、前年比20%高の同79〜81米ドル(同183〜187円)と予想している。
肥育豚価格が高値で推移していることから、豚肉の平均小売価格も、2013年5月から2014年6月まで14カ月連続で前年同月を上回る高値で推移している(図10)。6月の小売価格は、前年同月比14%高の1ポンド当たり411.6セント(100グラム当たり95円)となっている。
図9 肥育豚価格の推移 |
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資料:USDA |
図10 豚肉の平均小売価格の推移 |
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資料:USDA |
国内価格の高騰により、デンマークなどからの輸入量が増加
USDA/ERSが6月18日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2014年5月の豚肉輸入量は、前年同月比15%増の3万7900トンとなった(図11)。特に、デンマークやポーランドからの輸入量が大きく増加しており、それぞれ同56%増の3975トン、同241%増の3848トンとなった。USDAは、国内市場で豚肉価格が高値で推移していることから、従来であれば生産コストが高く、価格面で米国産と競合しないこれらの国からの輸入が増加したとしている。
一方、4月の豚肉輸出量については、同10%増の19万7800トンとなった。USDAは、この増加理由について、他国でもPEDなどの疾病の発生により、高品質商品を中心とした米国産への需要が高まったことを挙げている。
図11 豚肉輸入量の推移 |
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資料:USDA |
(調査情報部 渡邊 陽介)
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