需給動向 国内 |
平成27年5月の牛肉需給は、生産量は2万5335トン(前年同月比8.9%減)と、全国的な出荷頭数の減少に伴う減産が続いている。輸入量は豪州産牛肉の増加が見られたことから4万2191トン(同3.0%増)と、前年同月をわずかに上回った。推定出回り量は6万2141トン(同13.0%減)と、一部の外食チェーンにおいて業績不振が続いていることから、前年同月をかなり大きく下回った。推定期末在庫は前月より5280トン積み増して、14万189トン(同34.9%増)と前年同月を大幅に上回る水準が続いている(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 飼養戸数、飼養頭数ともに減少続く 農林水産省が平成27年6月30日に公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の肉用牛飼養戸数は、昭和32年の調査開始以降、58年連続での減少となる5万4400戸(前年比5.4%減)となった(図1)。減少に歯止めがかからない背景として、生産者の高齢化や後継者不足、生産コストの増大による経営悪化などに伴う離農があるとみられる。また、飼養戸数を飼養規模別に見ると、全ての階層で前年を下回っているものの、特に飼養頭数規模が1〜9頭の階層の減少率が大きいことから、小規模生産者の離農が進行していることが見て取れる(表1)。 肉用牛飼養頭数は、平成21年以降、減少傾向で推移しており、前年から7万8000頭減の248万9000頭(同3.0%減)となった(図1)。品種別に見ると、肉用種は166万1000頭(同3.2%減)、乳用種は82万7700頭(同2.8%減)といずれも減少している。また、乳用種のうちホルスタイン種他は34万5300頭(同6.0%減)と、生乳生産増産計画下においても飼養頭数は伸び悩んでいることがうかがえる。一方、交雑種は乳用牛への黒毛和種の交配率が上昇していることから、48万2400頭(同0.3%減)と、わずかな減少にとどまっている。 肉用牛の1戸当たり飼養頭数は45.8頭と、前年と比較して1.2頭増加となり、依然として増加傾向が継続している(図1)。
繁殖基盤の縮小続く 肉用種の子取り用めす牛の飼養頭数は、前年から1万5700頭減の57万9500頭(前年比2.6%減)と、減少傾向が継続している。特に飼養頭数の多い地域である、北海道は6万5800頭(同8.1%減)、東北は9万8900頭(同2.2%減)、九州は27万6700頭(同1.7%減)と軒並み減少した(表2)。このような状況を踏まえ、国は畜産クラスター計画をはじめ、肉用牛生産者支援に関するさまざまな対策を行っているところであり、繁殖基盤の維持・拡大、ひいては飼養頭数の増加が望まれている。
(畜産需給部 二又 志保)
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