需給動向 海外 |
◆米 国◆
牛肉需給のひっ迫により、牛肉価格は高値を維持 |
フィードロット導入頭数は前年を下回って推移 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月19日に公表した「Cattle on Feed」によると、2015年5月のフィードロット導入頭数は、前年同月比10.4%減の171万4000頭となり、前月に引き続き前年の水準を下回った(図1)。重量別に見ると、800ポンド以上の牛は前年同月並みとなったものの、600ポンド以下が前年同月比18.4%減、600〜699ポンドが10.3%減、700〜799ポンドが17.9%減といずれもかなり減少している。この要因として、肥育もと牛の供給頭数が不足していることや、フィードロットからの出荷価格が、肥育もと牛価格の高騰に見合うだけの水準になっておらず、フィードロット側の導入意欲が低下していることが挙げられる。
また、USDA/NASSが6月25日に公表した「Livestock Slaughter」によると、5月のと畜頭数は237万8500頭と前年同月比9.8%の減少となった。一方、1頭当たり枝肉重量は、同2.9%増の369キログラムと増加したものの、牛肉生産量は同7.1%減の87万3000トンとなった(図2)。なお、2015年の生産量についてUSDAは、前年比1.0%減の1089万トンと見込んでいる。
牛肉価格は引き続き高水準 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が公表している「Wholesale Prices」および (注)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
牛肉輸入量は今後も堅調見込み USDA/ERSが公表している「Monthly US Livestock and Meat Trade」によると、2015年1月〜4月の牛肉輸入量は、前年同期比40.9%増の55万4000トンとなった(図4)。 輸入先国別に見ると、 ・豪州 :19万2000トン (前年同月比72.5%増) ・NZ :13万4000トン(同28.1%増) ・カナダ : 9万6000トン(同 5.3%増) ・メキシコ : 5万9000トン(同42.4%増) となった。この要因として、国内の牛肉供給量の減少と米ドル高の為替相場が挙げられる。特に、豪州産の増加要因は、豪州での干ばつの長期化により雌牛を中心にとう汰が増加したこととみられている。 USDAは、今後も牛肉輸入量は堅調に推移するとの予測から、2015年の輸入量を前年比12.5%増の150万トンと見込んでいる。また、2016年の輸入量は、国内供給量の増加および豪州の供給不足により、同11.9%の減少を見込んでいる。 なお、USDAは2015年6月末、ブラジルおよびアルゼンチンの一部地域からの生鮮牛肉(冷蔵、冷凍)の輸入を承認しており、これらの地域からの輸入動向に注目が集まっている。今後、衛生条件の締結や食肉生産工場の衛生認証手続きを経て、牛肉の輸入が開始されることとなる。
(調査情報部 渡邊 陽介)
|
元のページに戻る