需給動向 国内

◆鶏 肉◆

鶏肉卸売価格、不需要期を迎えるも、堅調に推移


 平成27年5月の鶏肉需給は、生産量12万5274トン(前年同月比2.5%減)、輸入量3万6916トン(同6.9%減)、推定出回り量16万458トン(同0.6%減)、推定期末在庫は前月より1732トンを積み増し、11万6936トン(同6.7%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 このような状況の中、鶏肉卸売価格は、牛・豚肉との価格優位性に支えられた好調な消費を反映し、堅調に推移している(図4)。

 6月の鶏肉卸売価格(東京)を見ると、主にテーブルミートに仕向けられるもも肉は、不需要期を迎えて低下基調にあるものの、1キログラム当たり620円(同3.4%高)と、前月比13円の低下にとどまった。一方で、加工・業務筋からの引き合いが強いむね肉は、不足感が続いているとみられ、同342円(同17.5%高)と、31カ月連続で前年同月を上回る高値が続いている。

 堅調な相場を受けて、産地では増産意欲が高まっているものとみられ、5月の生産量は食鳥処理場の稼働日数が前年に比べて少なかったことに起因して、6カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、増加基調で推移している。

 しかし、人手不足や施設の老朽化などもあり、牛・豚肉との価格優位性や消費者の国産志向に支えられた需要増大に生産量が追いついていない状況となっており、引き続き、前年を上回る水準での相場展開が予想される。

図4 鶏肉卸売価格(東京)の推移
資料:農林水産省「食鳥市況情報」

鶏肉調製品輸入量、中国産が大幅に減少

 平成27年5月の鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、フライドチキンなど)の輸入量は、3万341トン(前年同月比10.4%減)と3カ月連続で前年同月を下回った。

 鶏肉調製品は、主に加熱処理施設が多数存在するタイおよび中国の2カ国から輸入されており、タイ産が1万7269トン(同15.8%増)とかなり大きく増加した一方で、中国産は1万2948トン(同31.0%減)と大幅に減少した(図5)。

 女性の社会進出や高齢化などを背景とした食の外部化の進展により、コンビニエンスストアやファストフードなどで利用される鶏肉調製品の輸入量は増加傾向で推移し、平成24年度以降は、2年連続で鶏肉輸入量を上回る状況が続いていた。しかし、26年7月下旬の中国産「消費期限切れ鶏肉」問題発生を契機に、消費者の中国産離れや、タイ産および国産への移行が進んでいるものとみられ、今後の輸入動向が注目される。

図5 鶏肉調製品輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」
(畜産需給部 小林 智也)

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