需給動向 海外

◆米 国◆

鶏肉生産は3カ月連続で前年同月を上回り、価格は下落傾向


2015年5月の生産量は3カ月連続で前年同月を上回る

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2015年の5月の鶏肉生産量は前年同月比1.4%増の147万トンと3カ月連続で前年水準を上回った(図9)。これは、米国経済が好調に推移し鶏肉をはじめとする食肉需要が堅調であること、また、飼料価格が安値で推移しており、飼料の多給によりブロイラー1羽当たりの平均出荷重量が増加していることが主な原因である。

 同月のふ化羽数を見ると、8億1000万羽と前年同月比3.3%増であり、引き続き生産は拡大傾向にある(図10)。

図9 ブロイラー生産量の推移
資料:USDA
  注:可食処理ベース。
図10 ブロイラーひなふ化羽数の推移
資料:USDA

在庫量は大幅増

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月22日に公表した「Cold Storage」によると、2015年5月31日時点での冷凍鶏肉在庫量は、前年同月比20.6%増の33万5000トンと大幅に増加している。特にレッグ・クオーター(ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの)の在庫量が膨らんでおり、同39.9%増の7万5000トンに達している。

 レッグ・クオーターなどのダークミートと呼ばれる脚の部位については、国内で好んで消費されるムネ肉などの部位よりも、輸出に向けられる割合が多い。このため、ロシアによる禁輸措置や、鳥インフルエンザの発生を理由とした中国に代表される主要輸出先国での輸入制限措置が影響しているものとみられる。

 生産量および在庫量の増加を受け、全米主要12都市の2015年6月の平均卸売価格(丸どり中抜き)は1ポンド当たり100.1セント(1キログラム当たり271円:1米ドル=123円)と、前年同月比11.7%安となり4カ月連続で下落している。

 現地の情報によれば、レッグ・クオーターの市場流通量を減少させるため、米国農務省農業市場流通局(USDA/AMS)による特別買い入れが夏ごろに行われる予定である。

(調査情報部 平石 康久)

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