需給動向 海外 |
2015/16年度生乳生産は堅調に推移する見通し |
乳製品輸出量、脱脂粉乳とチーズは引き続き増加 デーリー・オーストラリア(DA)が公表した2015年4月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(図19)。 ・脱脂粉乳 1万6674トン (前年同月比 56.0%増) ・全粉乳 5495トン ( 同 13.2%減) ・バター 2488トン ( 同 29.7%減) ・チーズ 1万3512トン ( 同 4.7%増) 同月の輸出実績(注)を見ると、脱脂粉乳は、インドネシア(3400トン、前年同月比61.4%増)やタイ(1700トン、同179.2%増)を中心とした東南アジアからの需要増により、チーズは、主要輸出先である日本(7800トン、同29.9%増)からの需要増により、ともに増加している。一方、全粉乳は、シンガポール(700トン、同56.9%減)や中国(200トン、同87.6%減)など主要輸出先からの需要減、バターは、ロシアの禁輸措置の影響により、ともに減少傾向が続いている。 (注)豪州の月別輸出量統計を抽出(「Global Trade Atlas」)。各品目のHSコードは以下の通り。 脱脂粉乳:040210 全粉乳:040221と040229の合計 バター:040510 チーズ:0406
国際価格、脱脂粉乳を除き、わずかな上昇に転じる 2015年6月16日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の乳製品1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(図20)。 ・脱脂粉乳:1978米ドル (約24万円(1米ドル=123円)、前年同期比48.7%安、前回比0.2%安) ・全粉乳:2327米ドル (約29万円、同36.4%安、同0.8%高) ・バター:2707米ドル (約33万円、同26.8%安、同3.4%高) ・チーズ:3128米ドル (約38万円、同28.6%安、同2.4%高)
いずれの品目も、前年同期比では引き続き大幅な下落となったが、前回比では脱脂粉乳を除いてわずかに上昇している。なお、4品目の総売買数量は2万4047トン(前年同期比24.8%減、前回比13.2%減)と減少傾向が続いており、特に全粉乳の売買数量は1万トンと今年に入り最も少ない数量となった。今後は、次年度の生乳生産が始まるにつれて、売買数量は増加に転じる見込みである。 2015/16年度の需給見通し、生乳生産は堅調に推移 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2015年6月、2015/16年度(7月〜翌6月)の牛乳および乳製品需給に関する見通しを公表した(表6)。これによると、2015/16年度の生乳生産量は959万キロリットルとなり、2014/15年度比1.6%増としている。これは、補助飼料価格の低下により給与量が増加傾向にあることで、乳牛1頭当たり乳量の増加が見込まれるためとしている。また、2015/16年度の乳製品輸出額は、豪ドル安による競争力の強化や、東南アジアの堅調な需要を背景に、24億豪ドル(2300億円:1豪ドル=96円)と見込んでおり、2014/15年度比1.8%増と予測している。
また、DAは6月、今後の経営見通しなどに関する酪農家の意識調査結果を公表した。これによると、今後の酪農経営について楽観的および非常に楽観的な見通しを示す酪農家は74%と、前年調査の75%に引き続き高い割合となり、2015年に設備投資を検討している生産者の割合も52%に達した。国内外の需要の高まりや高い乳価設定を受けて、生乳生産を増やしたいという生産者の意欲が表れているとしている。なお、豪州が韓国、日本、中国と立て続けに締結した経済連携協定に対しては、64%の生産者が「業界にとって追い風になる」と回答している。 (調査情報部 竹谷 亮佑) |
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