需給動向 海外

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豚肉生産は増加、枝肉価格は低調に推移


2015年3月の豚肉生産量、前年同月比2.1%増

 欧州委員会によると、2015年3月のEU28カ国の豚枝肉生産量は、前年同月比2.1%増の186万トンと、わずかに増加した(図6)。2015年1月〜3月の累計で見ると、前年よりわずかに増加(575万トン、前年同期比2.6%増)し、通年では前年並み(0.9%増)とみている。

図6 豚肉生産量の推移
資料:欧州委員会
注 1:2012年はEU27カ国、2013年以降はクロアチアを含むEU28カ国。
  2:2015年3月は速報値、同年4月以降は予測値。

2015年5月の豚枝肉卸売価格、前年同月比13.4%安

 EU豚枝肉卸売価格は、2015年3月9日から7週間にわたって実施された豚肉の民間在庫補助(PSA)などにより、低水準の中で緩やかな上昇基調で推移していたが、2015年5月は、前月よりやや値を下げ、前年同月比13.4%安の100キログラム当たり142.0ユーロ(1万9738円:1ユーロ=139円)となった(図7)。同価格は、2013年10月以降、20カ月連続で前年同月を下回って推移している。

図7 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

ロシア、禁輸措置を1年間延長

 ロシア大統領府は6月24日、2014年8月から実施しているEUなどからの農畜産物の禁輸措置を1年間延長すると発表した。今回の延長により、2016年8月まで食肉、魚介類、乳製品、青果物などについて引き続き禁輸措置が取られることになる。

 禁輸措置が取られるまで、ロシアはEUにとって最大の農畜産物の輸出先であったため、1年間の延長はEUの農畜産業にさらなる影響を及ぼすとの懸念もある。

 なお、豚肉については、2014年2月からEU域内でのアフリカ豚コレラ(ASF)の発生を理由に、加工品、内臓を含めたいずれの品目についても、ロシアの禁輸措置が継続している。

 しかし、北米地域での豚流行性下痢(PED)による豚肉生産量が減少していたことから、北米産豚肉の代替として、中国、韓国、豪州などへの輸出量が増加傾向にある(表3)。

表3 EU域外への輸出先別豚肉等輸出量
資料:欧州委員会
  注:製品重量ベース。
(調査情報部 大内田 一弘)

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