平成26年秋以降の |
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農林水産省 生産局 畜産部 |
昨年秋以降、店頭のバターが品薄となりましたが、これは、酪農家の離農などにより乳牛の頭数が減少していることなどにより、生乳(=搾ったままの牛の乳)の生産量が減少し、バターの生産量・在庫量が減少したことに加え、供給不安などを背景として店頭での家庭用バターの購入量が増加したことなどから起こったものと考えています。 1 バターは需給の調整弁国内で生産される生乳からは、牛乳、ヨーグルト、生クリーム、チーズ、バター、脱脂粉乳など、さまざまな乳製品が作られます(図)。 生乳は、まず最も鮮度が求められる牛乳や生クリームなどに加工され、最後に保存性の高いバターや脱脂粉乳に加工されます。 生乳生産が多いときは、バターや脱脂粉乳の生産を増やし在庫として保有しておき、一方、生乳生産が不足するときには、バターや脱脂粉乳の生産を減らして保有していた在庫を放出することにより、需給を調整することができ、バターは乳製品全体の安定供給のための需給調整弁の機能を持っています。 このような生産構造となっているため、生乳生産量が減少してくると、牛乳は不足しないが、バターの生産量が大きく減少するということになります。
2 平成27年度の生乳生産とバターの需給見込み平成27年度の生乳生産については、北海道を中心として回復傾向にあり、北海道の生乳生産量は388万トン、対前年度比+1.5%の増加となると見込まれ、全国の生乳生産量は、前年度と同じ733万トンとなる見込みです(表)。 平成27年度のバターの生産量は、6万4800トン(対前年度比+5.2%)となる見込みですが、依然としてバターの需要量(消費量)が生産量を上回っており、27年度中に1万2800トンの輸入を農畜産業振興機構が実施することとしました。 これにより、27年度末の在庫量は、26年度末から16.3%増加し、2万700トンとなる見込みです。
3 農畜産業振興機構を通じた輸入についてバターが国内の生乳需給の調整弁として機能するためには、無秩序な輸入ではなく、(1)国内で不足する場合には追加輸入(注)により輸入量を増やし、(2)需給が緩和する場合には輸入時期を調整するなど、輸入の量や時期を調整する必要があります。 こうした運用は、通常の関税の仕組みでは困難であることから、農畜産業振興機構を通じた輸入を行っています。 こうした仕組みを通じて、バターが需給調整弁として有効に機能するようにし、日本国内のバターだけでなく牛乳なども含めた乳製品全体の需給の安定を図っています。 4 生乳生産基盤の回復のための取り組み国内の生乳生産が不足する場合には、バターや脱脂粉乳の形で輸入し、不足を補うこととしていますが、国内の乳製品の需要は、国産で賄うことが基本です。このため、農林水産省としても、生乳の増産に向けて、生乳生産基盤の回復のためのさまざまな対策を実施しています。 特に、酪農家をはじめとした地域の関係者が連携・結集して、地域全体での畜産の収益性の向上を図る畜産クラスターの仕組みを活用して、(1)経営規模の拡大や新規参入の促進のための施設整備、(2)労働負担の軽減に資する搾乳ロボットなどの機械導入などを支援しているところです。 農林水産省としては、今後とも、生乳およびバターの需給動向を注視しつつ、酪農および乳業界とも協力して、牛乳・乳製品の安定供給に努めてまいります。 注: 農畜産業振興機構が、国際約束に従って生乳換算13.7万トン/年のバター・脱脂粉乳を輸入するものを
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