需給動向 海外 |
と畜頭数が高水準に推移する中、
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肉牛価格は上昇の一方、と畜頭数は記録更新 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、11月下旬以降上昇基調に転じ、12月8日時点では1キログラム当たり357.25豪セント(368円:1豪ドル=103円)となった(図5)。MLAは、海外市場からの豪州産牛肉への強い引合いによってフィードロットでの肥育もと牛需要が堅調な中、11月下旬の広範にわたる大雨により、家畜市場への肉牛出荷が減少したことが価格上昇のきっかけとなったとしている。
しかしながら、と畜頭数の推移を見ると、肉牛主産地であるクイーンズランド(QLD)州での干ばつが長引く中、10月半ばからは一段と高水準で推移し、直近1週間(11月22〜28日)では17万8670頭(前年同期比13.7%増)と、過去最高記録を更新し続けている(図6)。
今後数カ月の間、夏の高温乾燥の継続が予測されることから、MLAは、牧草肥育牛生産者の肥育もと牛需要や牛群再構築への意欲は当面も低調なままであり、と畜頭数は高水準を維持するものとみている。 11月の牛肉輸出量、米国、日本が増加の一方、韓国、中国が減少 豪州農漁林業省(DAFF)が12月2日に公表した「Red Meat Statistics」によると、2014年11月の牛肉輸出量は11万2396トン(前年同月比12.6%増)となった(図7)。主要輸出先別では、米国向けが3万9089トン(同121.3%増)、日本向けが2万6578トン(同6.3%増)と増加した一方、韓国向けは1万3690トン(同8.3%減)、中国向けは8527トン(同46.1%減)といずれも前年同月から減少した。 米国向けは10カ月連続での首位と、好調を維持しているものの、MLAは、米国内で競合相手となるニュージーランド(NZ)が10月に季節的にと畜が増加する時期を迎えたことなどで、米国からの豪州産への需要はやや一服したとみている。韓国については、国内での豪州産や米国産の卸売価格高騰により輸入牛肉の荷動きが停滞していると報告している。また、中国では、輸入牛肉への需要は堅調なものの、豪州産価格の上昇により、ウルグアイ産やNZ産にシフトしているとみられ、ここ数カ月間、豪州産は前年同月を下回って推移している。
日本向けグレインフェッド牛肉輸出が好調 2014年1月以降の日本向けの内訳を見ると、穀物肥育(グレインフェッド)牛肉輸出量が4月以降、ほぼ前年同月を上回っており、1〜11月の累計では11万8174トン(前年同期比10.7%増)となった(図8)。2012年から2013年にかけて、日本向けグレインフェッド牛肉輸出は、米国産との競合のあおりを受け、ほぼ一貫して減少してきた。しかし、米国内での牛肉生産量減少と、それに伴う米国産の高値から、豪州産に対する需要回復の動きもみられる。 また、豪州産グレインフェッド牛肉への需要は、日本以外の市場からも高まっており、1〜11月では、韓国向けが3万2166トン(同17%増)、EU向けが1万5312トン(同46%増)、米国向けが8489トン(同157%増)、全体では20万8750トンとなり、2014年通年では前年(20万9069トン)を上回ることが確実となっている。
(調査情報部 伊藤 久美)
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