需給動向 国内 |
平成26年10月の牛肉需給は、生産量は3万1694トン(前年同月比2.8%増)と、2カ月連続で前年を上回った。輸入量は4万8794トン(同7.7%増)と、前年をかなりの程度上回った。推定出回り量は7万5241トン(同3.4%増)となり、推定期末在庫は前月より5121トン積み増して、13万4805トン(同1.0%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。こうした中、11月の肉用子牛取引価格は、引き続き前年を上回る水準となった。 黒毛和種、平成2年度以降で最高を記録 黒毛和種については、肉用牛繁殖経営における長期的な離農の進行に加え、22年4月の宮崎県における口蹄疫発生や23年8月の大規模経営者の倒産などにより、繁殖めす牛が減少しており、繁殖基盤は縮小している。このような中、黒毛和種の子牛取引価格(全国・雌雄平均)は、出生頭数の減少に伴う子牛取引頭数の減少や堅調な牛枝肉卸売価格を背景として、24年秋以降、右肩上がりで推移してきた。26年度に入り、伸び率は小さくなったものの、依然として50万円を超えて推移しており、11月は1頭当たり58万5000円(同10.8%高)と、当機構が取引情報の収集を開始した平成2年度以降で最高を記録した(図1)。
交雑種、取引頭数前年増も高止まり また、交雑種については、酪農家が副産物収入を増やすために、子牛価格の比較的高い交雑種の生産意欲を高めていることなどを受け、乳用牛への黒毛和種の交配率は上昇している。こうしたことから、交雑種の出生頭数は増加傾向にあり、子牛取引頭数も5カ月連続で前年を上回っている。しかしながら、肉用子牛全体の頭数不足や堅調な牛枝肉卸売価格などに支えられ、子牛取引価格は前年を上回る水準が続いており、11月は同35万2000円(同6.1%高)となった(図2)。
ホルスタイン種も高止まり 一方、ホルスタイン種については、酪農家の離農や乳用牛への黒毛和種の交配率の上昇などから、出生頭数は減少傾向が継続している。こうしたことから、子牛取引価格は、昨年の冬以降、14万円前後で高止まっており、11月は同14万8000円(同8.3%高)となった(図3)。 子牛取引価格の上昇幅は前年度より縮小しているものの、いずれの品種も異例の高値のまま年末を迎えるものとみられる。肥育農家はすでに厳しい経営状況下にあることから、離農を食い止め、安定した経営を継続していくために、繁殖基盤の早急な再構築が望まれる。
(畜産需給部 山口 真功)
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