需給動向 海外 |
◆米 国◆
2014年11月のフィードロット飼養頭数は |
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が11月21日に公表した「Cattle on Feed」によると、11月1日時点のフィードロットの飼養頭数(注1)は、前年同月をわずかに上回る1063万3000頭となり、2012年8月以降、初めて前年同月を上回った(図1)。主要肉牛生産州を見ると、全米最多頭数を誇るテキサス州(前年同月比1.2%増)の255万頭、次いでネブラスカ州(同3.4%増)の245万頭、カンザス州(同1.5%増)の208万頭と上位3州でいずれも増加となった。 (注1)収容能力1000頭以上規模が対象
フィードロット導入頭数は前年同月を下回って推移 11月時点の飼養頭数は増加したものの、2014年10月のフィードロット(注2)導入頭数は、235万7000頭(同1.0%減)と前年を下回った(図2)。この要因として、2011年、2012年と2年連続で発生した干ばつの影響で、早期淘汰が進んだことから、繁殖雌牛頭数が減少し、肥育もと牛の供給が落ち込む中、カナダやメキシコからの肥育もと牛の輸入がこの減少分を補うまでに至っていないことが挙げられる。フィードロット経営は、現在、飼料穀物価格が低水準にある中でも高値の肥育もと牛の導入に意欲的ではないとみられる。 (注2)収容能力1000頭以上規模が対象
11月1日時点のフィードロットへの導入頭数を重量別に見ると、600ポンド(270キログラム)以下が前年同月比4.2%減、600〜699ポンド(270〜315キログラム)が同1.4%減、700〜799ポンド(315〜360キログラム)が同8.5%減となったものの、800ポンド(360キログラム)以上が同10.4%増と8月以降、重量級の肥育もと牛の導入頭数の増加が目立っている。この傾向は、干ばつが発生した2012年には見られなかったことから、2014年は放牧地の環境が回復傾向にあることに加え、豊作による飼料価格の下落により繁殖農家や育成農家などで飼養環境がさらに改善されているためとみられている。 肥育もと牛価格は高水準も、今後は弱含みの可能性も 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、10月の肥育もと牛価格(600〜650ポンド)は、100ポンド当たり252.25ドル(1キログラム当たり約663円)と依然、高水準で推移している(図3)。一方でUSDA/ERSは、価格はすでに高止まり感が出て来ていることから、今後は弱含み傾向を示すとみている。
一方、繁殖雌牛価格(450〜500ポンド)は、繁殖雌牛頭数が低水準で推移していることや、フィードロットからの子牛の引き合いが高まっていることを背景に同267.75ドル(同53.6%高)と高値で推移している(図4)。現地関係者によると、このような繁殖雌牛価格高騰を受け、この機会に繁殖雌牛を全頭売却し、廃業を考える高齢層の繁殖農家も出て来ていることから、長期的な肉牛生産の構造に影響が出る可能性があるとしている。
(調査情報部 山神 尭基)
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