需給動向 海外

◆ブラジル◆

禁輸措置の代替需要増でロシア向けが躍進


旺盛な需要、良好な為替相場で輸出好調

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2014年1〜10月の鶏肉輸出量は、前年同期比3.3%増の304万1587トンとなった。国外からの旺盛な需要に加え、為替相場が米ドル高レアル安基調で推移したことで、輸出環境が良好となったことが輸出増の要因として挙げられる。

 同期間の輸出内訳を見ると、最大の輸出先はサウジアラビアで53万7211トン(同5.5%減)、第2位は日本で34万4650トン(同7.7%増)、第3位は香港で26万4525トン(同4.5%減)となった(表5)。サウジアラビア向けは、ここ数年、ハラール認証を受けた食鳥処理施設の増加に伴い、輸出量が増加してきたが、サウジアラビア国内での鶏肉生産が拡大したことで輸入鶏肉の需要が低下し、輸出量が減少した。一方、日本向けは、日本国内での牛肉、豚肉価格が高値で推移していることを受け、鶏肉への代替需要が高まったことに加え、国産鶏肉の在庫不足による相場高からブラジル産への引き合いが強まったことが一因とみられている。

 また、中国向けは、輸出認可施設が増加したことを受け、18万8915トン(同19.3%増)となったほか、ウクライナ問題を契機として8月以降、欧米諸国からの農産物の禁輸措置を講じているロシア向けが9万2592トン(同135.8%増)と大幅に増加し、10月に限ると3万3617トン(前年同月比457.5%増)を記録した。

表5 鶏肉輸出の推移
資料:SECEX

今後の輸出見通し

 ブラジル動物性たんぱく質協会(ABPA)は11月26日、2014年の鶏肉輸出量について過去最高となった2011年実績を上回る見込みであると発表した。併せて、同協会会長は、現在、好調なロシア向けのみならず、米ドル高レアル安の良好な輸出環境を活かし、多角的な輸出を行っていきたいとしている。中でも、2014年に入って本格的に輸出を開始したメキシコを有望な市場とみている。

2014年の鶏肉消費量は微減

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2014年1〜10月の鶏肉生産量は1046万270トン(前年同期並み)となった(図21)。一方、同期間の鶏肉消費量は、当初、今年6月に同国で開催されたサッカー・ワールドカップによる増加が見込まれていたが、同国の景気後退と物価上昇を受けて購買力が低下し、743万967トン(同1.2%減)となった。

図21 鶏肉生産量と鶏肉消費量の推移
資料:APINCO
(調査情報部 米元 健太)

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